輸入車/注目の輸入車試乗レポート

ランチア イプシロンのステイタスの秘密とは?

ランチア イプシロンは大きなセダンでもなく、速いスポーツカーでもなく、非常に高価という分けでもない。でも誰が見ても、明らかに普通のクルマとは違うステイタスを持つ。その秘密とは?

執筆者:松本 明彦


A POCKET FLAGSHIP

小柄ながら圧倒的な存在感を持つ、ランチア イプシロン。独特の大きなランチアグリル。

ランチア イプシロンは、小柄ながら圧倒的な存在感を持つ。独特の大きなランチアグリル、たっぷりと豊かなR(曲線)を描くボディ、そしてクラッシックな面構成の雰囲気。3780×1720×1530mm(全長×全幅×全高)のBセグメントの小さな2ボックスとは思えない、堂々としたたずまいだ。

2003年2月23日ジュネーブモーターショーで、ランチアYの後継車としてイプシロンは登場した。その「Ypsilon」のロゴ(文字デザイン)は、Carre Noir広告会社により、前車Yのロゴをモチーフにギリシャ文字の草書体からデザインされた。

後ろから見て、左右のテールランプとそれを繋げるバンパーで、上を向いたコの字型に囲むようにデザインされたテールハッチ、下すぼまりのリアガラスは、1930~50年代に作られたランチア アルデアがモチーフ。 

エクステリアデザインのモチーフは、1930~50年代に作られたランチア アルデアだ。ランチアグリルの歴史を見ると、空力を追求した80年代には一時上下が薄い横長グリルになった。しかし自社の誇り高きヘリテイジ(後世に伝えるべき遺産)を見直し、近年のテーシスやフェドラに続き、六角形の上にランチアマークと、縦に二分割された昔の独特の大きなランチアグリルを採用する。

クラッシックでクラスを超えた、重厚なたたずまいを見せるイプシロン。

ルーフからテールハッチへの、たっぷりとした大きなR。後ろから見て、左右のテールランプとそれを繋げるバンパーで、上を向いたコの字型に囲むようにデザインされたテールハッチ。下すぼまりのリアガラス。ベルトライン下のキャラクターライン。ランチアグリルと共に、アルデアからの引用を感じさせるデザインだ。全体の雰囲気は、現代にあってまるで「馬車」を感じさせるが、その馬車からデザインの影響をまだ受けていた、1930年代のクルマからの引用なのだ。そう感じる要素があるのは当然かもしれない。

たっぷりとしたRのテールハッチ。「A POCKET FLAGSHIP」(小さな高級車)が、まさにランチア イプシロンだ。

ヘッドランプは宝石のカットのように、現代流のモダンなデザインを見せるが、先のデザインの特徴と相まって、全体の雰囲気としてはクラッシックでクラスを超えた重厚なたたずまいを見せる。「A POCKET FLAGSHIP」は、イプシロン発表時に評された言葉だが、まさに「小さな高級車」のデザインをエクステリアでも十分に表現しているといえるだろう。
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