輸入車

Catch the News! 自動車のリコール制度について。(2ページ目)

三菱自動車事件でクローズアップされているリコール制度。いま国土交通省はどう動いているのか。安全確保への切り札はあるの?

執筆者:岩貞 るみこ

 そして問題の2)である。この集めた情報の真偽確認だ。これまでは自動車メーカーからの報告を鵜呑みにするしかなかった。現実問題としてメーカーの良心と誠意を信じる以外、手だてがなかったのである。もっともそれが今回の三菱事件へとつながってしまったのだが。それを反省し、国交省内に実務経験者(自動車メーカー技術者OB等)で構成するリコール案件調査・検証検討会を設置することになった。「国土交通省のリコール担当官に加え、材料・製造管理、操縦安定性、エンジン、電気装置、動力伝達・制動装置の各分野の実務経験豊かな専門家約10名で構成」されるこのチームにより、技術的検証を行い虚偽報告を暴こうというものである。

 ただ「それを開発した人が一番その部品についてよく知っているのでいくら経験者といえ外部の人間がどこまでできるか」という声がすでにあがっている。こういうチームが存在するというだけで抑止力になりうるとは思われるが、それでも最終的には各自動車メーカーの良心と誠意にすべてがかかっているという事実に変わりはないことを思い知らされる。

 3)の実施と4)のユーザーへの情報提供は特に大きな変更はなし。ただ今回の三菱事件を見ていてもわかるとおり、いくらリコールが出ていてもユーザーが協力して改修に応じなければなんの意味ももたないということが言える。

 確かに、平成14年以前のリコール制度、そして14年に改正され今現在運営されている制度を改めて見返すと「え? そんなこともしていなかったの?」という事実に驚かされる。しかしそれでもなんとかなっていた。自動車メーカーに「一歩間違えれば凶器にも成りうる鉄の塊」を製造している人間としての良心と誠意があったからだ。しかし、その最低限の暗黙の了解がくずれたとき制度はなんの意味ももたないことがわかる。非常に微妙なやじろべえは、簡単に綱から落ちてしまうのだ。

 今回の三菱事件を受けて国交省は、綱を太くし、やじろべえを安定させるため両サイドの重りを調整するなどしてさらなる制度改革を打ち出し早ければ今秋から始めるけれど、それでもやはり、やじろべえであることに変わりはない。結局は自動車メーカーの良心と誠意。これがなければ何事も成り立たないのである。

リコールに係る不正行為に対する国土交通省の再発防止対策のホームページはこちらから。

国土交通省の自動車等不具合情報ホットラインのホームページはこちらから。
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