輸入車

Catch the News! 自動車のリコール制度について。

三菱自動車事件でクローズアップされているリコール制度。いま国土交通省はどう動いているのか。安全確保への切り札はあるの?

執筆者:岩貞 るみこ


リコール制度とはそもそもなにか。自動車のリコール制度は昭和44年に自動車型式指定制度の一部を改正することにより導入され、その後、平成6年に道路運送車両法に規定されたもの。そして平成14年に罰則の強化やリコール命令の創設がされた。平成14年といえばごく最近の話である。平成14年以前のリコール制度の罰則は「届け出義務違反は100万円以下、虚偽報告は20万円以下、法人料罰も20万円以下の罰金」という、ちょっと待ってよ、そんなの抑止力なんにもないじゃん?的なものだったのだ。

 そして前回の(今回じゃない)三菱リコール隠し事件のときに「これじゃいかん」と気付き、平成14年の制度改正とあいなった。改正後の罰則強化により「懲役1年以下」という懲役刑が導入されたほか「罰金300万円以下、法人料罰2億円以下、虚偽報告も同じ」と、金額大幅アップとなったわけである。なので今回、三菱ふそう、三菱自動車が行った数々の「届け出義務違反」「虚偽報告」で、いったい総額いくらの法人料罰が科せられているのかちょっと知りたくもある。

 さて、平成14年の制度改正にも関わらず今回発覚したリコール事件。国土交通省としては制度強化がなんの意味も持たなかったことに気付き、愕然としたことだろう。もっとも制度改正の時点ですでに三菱側には「秘密」がごまんとあったわけだから、改正されようがされまいが関係なかったのかもしれないが。

 今回の発覚により国土交通省の動きは早かった。制度改革にはいろいろな手続きを踏む必要があるため時間がかかるのが一般的だが「これ以上、だまされないために」と大幅な改正策を即座に打ち出してきた。国交省の怒りが伝わってくるようだ。

 基本的なリコールへ流れは1)不具合情報の収集2)リコールの判断3)実施4)ユーザーへの情報提供となる。

 まず1)について。不具合の情報を持つのはユーザー、ディーラー&整備業者、JAF&警察&消防と大きく3つに分けられる。このうちディーラーの情報は自動車メーカーに行ってしまうため、国交省へ直接入ってくるのはユーザーとJAF等々の情報になる。これをHPの活用や体制強化によって情報収集を徹底することになった。また自動車メーカーからの不具合情報も定期的な報告を求め、もれやウソがないようチェック機能を充実させる。
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