妊娠の基礎知識/出産年齢

38歳の妊娠は?年齢別の妊娠確率と高齢出産のリスク

38歳の妊娠確率やリスクは?子供は何歳まで産めるのでしょう?35歳から「高齢初産」と呼ばれるようになりますが、気にしたい境界線は実は30代前半で、37~38歳からそれに拍車がかかるということが分かっています。卵子老化の真実や、年齢別の妊娠確率、高齢出産のリスクとは?

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

 

体外受精の成功率から~
卵子の力は33歳から下がり始める

38歳の妊娠確率とリスク 子供は何歳まで産める

高齢出産は何歳から?本当のところ何歳まで産める?

「何歳まで産める?」ということを女性が今くらい気にしている時代は初めてでしょう。子供を持つかどうかの決心を先延ばしにしている人は、たいてい「35歳までには産もう」と思っています。でも、その35という数字に何の根拠があるかと言えば、それは「35歳から高齢初産と呼ばれる」というだけの理由です。

体外受精は卵子の力がストレートに反映されますが、これにより妊娠する能力は33歳くらいから下がり始めると言われています。体外受精の成功率は、33歳なら20代と同じで1回につき3割くらい妊娠しますが、40歳では1割ほどに下がります。


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37~38歳から妊娠しづらい傾向にさらに拍車がかかる

年齢別 不妊症頻度のグラフ。妊娠しにくい人は25才では3.5%ですが30代から少しずつ増え、35才では11%、40才では33%になります。
年齢別 不妊症頻度のグラフ。妊娠しにくい人は25才では3.5%ですが30代から少しずつ増え、35才では11%、40才では33%になります。
宗教上の理由などで避妊をしない妻たち1000人を調べた海外の調査もあります。それによっても、やはり30代になる頃から妊娠率が下がり始め、37~38歳からそれに拍車がかかるという形になりました。

当たり前のようですが、35歳という境界線のこちらと向こうで世界が変わるわけはなく、人の身体は少しずつ、少しずつ変化します。30代少し過ぎから、10年以上かけて変わっていくのです。
 

避妊をやめても、すぐ妊娠しないかもしれない

30代の中頃になり妊娠力が落ちてくると、避妊をやめてもなかなか妊娠しないかもしれません。

若いときは妊娠しないように気をつけることで頭が一杯で、妊娠できることのありがたさを感じる人は少ないでしょう。ところが、子供が欲しいと思うとなかなか妊娠しなかったりします。つまり「不妊」といわれる状態になります。どこも悪いところがなくても、人は卵子の老化、つまり加齢により不妊になります。
 

妊娠チャンスもいつの間にか減っています

結婚後何年も経過すれば、性生活の回数が減るのも自然な姿。当然のことながら、これも妊娠しにくい原因になります。

子どものいるカップルは、結婚後2年くらいで出産しているケースが圧倒的に多く、その後に第一子をもうける確率はどんどん減ってきます。30代で、パートナーと性的な関係になってから年月が経っている人は(入籍しているかどうかに関わらず)、自分たちがセックスに興味を失いかけていないか見直してみましょう。
 

35歳までに産みたかったら、30歳でそろそろ考えて

35歳をひとつの節目と考え、「35歳までは子どもなしでいいわ」と思う人がとても多いようです。でも35歳の妊娠力を考えれば、35歳で避妊をやめるのでは少し遅いかもしれません。35歳から妊娠を待って数年経過してしまえば、妊娠しやすさはもう20代の半分くらいです。

もちろん、子供を欲しくなる気持ちに年齢制限はありません。中には、40代で初めて子どもが欲しくなり、何人か出産する人もいます。それはすばらしいことですね。

しかし、子どもは欲しいし結婚相手もできた人が、何となく出産を先送りするのは要注意です。できるだけ早いスタートを切りましょう。そして、ゆったりとコウノトリを待つようにしましょう。焦るストレスで妊娠が遠ざかったりしたら、つまらないですよ。
 

高齢出産のリスク

高齢出産は若い人に比べてリスクがある

高齢出産は若い人に比べてリスクがある

高齢出産でも神経質になることはありませんが、若い人に比べれば次のようなリスクがあります。

■流産が増える
20代での流産率は1割くらいですが、40代では2割くらいに。これは「妊娠しにくい」のと同じ理由で、卵子が老化し、育たないものを含む率が高くなっているからです(子宮が弱っているということではありません)。

■ダウン症など染色体の本数異常が発生する率が高くなる
『産婦人科診療ガイドライン産科編2011』(日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会編集・監修)が掲載している海外の文献を引用した表によると、25歳でダウン症の赤ちゃんを出産する割合は1352人に1人ですが、35歳では356人に1人となり、40歳では97人に1人となっています。

出産は常に正常な赤ちゃんが生まれるわけではなく、その事実に向き合うことは本来すべての妊婦さんに必要なこと。でも、特に高齢出産をする人にとっては、これは一度は考えておきたい「宿題」といえます。

■帝王切開が増える
妊娠高血圧症候群、さまざまな持病、体外受精で少し増える多胎妊娠、そして「貴重な妊娠なので大事を取って帝王切開にしたい」といった考えなどから、高齢出産は帝王切開率が多くなります。この傾向は、特に40代の初産婦さんにはっきりと表れています。
 

やっぱり高齢出産って大変?

高齢出産って大変そう、と思った方がいるかもしれませんが、お産はもともと人生の大仕事です。20代でも、たくさんの人が困難な妊娠・出産にチャレンジしているのを思い出してください。流産も、帝王切開も、実は、若い人でも10人に1人以上が経験します。

卵子の老化の問題は大きいのですが、ひとたび安定期まで入った妊娠なら、現代の高齢出産はかなり安全性の高いものになっています。勇気を出して、でもロボットではない自分の体のことも知って、いい高齢出産をしてください。
(一部2013年改訂)

1頁目のグラフは、下記より作成。「EBMから見た不妊治療の実際 11.高齢不妊患者の治療方針 前川正彦、苛原稔」(「産婦人科治療」88巻5号)表1 加齢にともなう体外受精による妊娠率の推移(TietzeG.et al,1957 より一部改変)


【関連記事】
【参考書籍】
卵子老化の真実

『卵子老化の真実』(文春新書)



卵子老化の真実(2013年・文春新書)

もっと高齢出産について知りたい方へ。30代、40代出産の方にぜひ知っていただきたい妊娠、出産、子育ての知識を経験談とともに収めています。
 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
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