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デモンズソウルは美しい(2ページ目)

ソニー・コンピュータエンタテインメントからPLAYSTATION3用タイトルとして発売されたデモンズソウルは新規作ながら約9万本を販売しました。オンラインに、その新しい魅力がある模様です。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

死んでいった勇者達が教えてくれる

メッセージに先の危険が記されていると、緊張感が高まります。それがまたたまらないのですゲームを進めていくと、時々地面にメッセージが書いてあります。この先の敵、待ち伏せに気をつけろ。なにかあるぞと暗闇の部屋へ盾を構えて入っていくと、カキーンと剣をはじく音が。入り口脇にこっそり隠れて攻撃をしかける敵キャラクターが居ます。メッセージのおかげで難を逃れましたが、知らなければやられていたかもしれません。

このメッセージは、オンラインでプレイしている他のプレイヤーの残したものです。メッセージは用意された文章を選んでいつでも地面に書き記しておくことができ、オンラインに接続している他のプレイヤーが見ることができます。役に立ったメッセージは評価することができ、評価されたプレイヤーは体力が回復します。

またあるとき、地面に血痕があります。血痕を調べると半透明のキャラクターが出現し、先に進んでいきます、ちょっといくと地面の下に消えていきました。近づいてみると、落とし穴があいています。オンラインに接続しているプレイヤーが死ぬとこの血痕が残り、死ぬ直前の行動が記録されます。つまり血痕があれば何らかの死ぬ理由がある場所だということが予想でき、血痕を調べれば死に様からその理由が何となく想像できます。

デモンズソウルでは、オンラインに接続したプレイヤー達の痕跡を共有することによって、直接的なコミュニケーションは無くとも、全てのプレイヤーのプレイがゲームのヒントとなって機能します。常に死と隣り合わせの絶望的な難易度の中で、死んでいった勇者達の痕跡が危険を回避させ、希望の光をもたらすという構造になっているのです。

パラレルワールドの共有

デモンズソウルのメッセージは、ニコニコ動画の仕組みとよく似ています。メッセージを残すことで時間差のコミュニケーションが生まれますオンラインでできることはメッセージや血痕を残すことだけではありません。どうしてもクリアできない人は自分の世界にプレイヤーを召喚して一緒に戦うこともできますし、逆に誰かの世界に助けに行くこともできます。また、自分の世界に突如敵意を持ったプレイヤーが侵入してくることも。

デモンズソウルの見事なところは、これらの仕組みがオンラインモードとして別に用意されているのではなく、ゲームの進行の中に組み込まれて一体化しているところです。デモンズソウルでは、ゲームをはじめるとタイトル画面の前でオンラインへ接続する許可を求められます。それにOKさえ出せばオンラインに接続される為、PLAYSTATION3をオンラインに接続してあれば、基本的にいつもオンラインプレイをすることになります。

ですから、プレイヤーがオンラインを意識しようがしまいが、プレイ中は常にいくつかのパラレルワールドが存在し、そこで死闘を繰り広げる他のプレイヤー達の痕跡を共有します。そして時にはパラレルワールドを行き来しながら、ゲームを進めていきます。

強烈な難易度、ヒントの仕組み、オンラインへの誘導、こういったそれぞれの要素の見事なかみ合わせこそがデモンズソウルの美しさなんです。
メッセージの図
ニコニコ動画の図
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