男のこだわりグッズ

なぜ? 発売から49年、日本の大定番「キャンパスノート」が書き心地、丈夫さ、低価格を守り続ける理由

発売から49年たった今でも、多くの人にとって標準的なノートとして愛用され続けているのが、コクヨのキャンパスノートです。その歴史についてはよく語られていますが、では、そのキャンパスノートとはどういうノートなのか。コクヨが考えるノートについて、キャンパスノートの開発、デザインの担当者に聞きました。

納富 廉邦

執筆者:納富 廉邦

男のこだわりグッズガイド

初代キャンパスノート

これが1975年発売の初代キャンパスノート

1975年に発売されたコクヨの「キャンパスノート」は、49年が経過した今でも、学生を中心に多くのユーザーに愛用されている日本のノートの大定番製品です。発売当初から今まで、4回の大きなモデルチェンジが行われており、現在流通しているものは5代目。

キャンパスノートの歴史や表紙、ロゴの変遷については筆者も以前に取材して、何本かの記事を書きました。しかし、「キャンパスノート」はコクヨにとってどのような存在なのか、コクヨが考えるノートとはどういうもので、「キャンパスノート」が「キャンパスノート」であるためにコクヨが守っていることは何かという部分は、あまり語られていません。

今や、「大人キャンパス」や「スマートキャンパス」「キャンパス フラットが気持ちいいノート」などバリエーションも増え、さらには「限定 キャンパス肉球ソフトリング」のような、思い切った表紙デザインの製品も登場しています。

それらが、なぜ「キャンパスノート」のブランドで発売されているのか、他のコクヨのノートと、「キャンパスノート」との境界はどこにあるのか、そういったことを、コクヨでキャンパスノートの企画を担当されている絵馬多美子さんと、開発を担当されている中村ちえ子さんに伺いました。
 

筆記具を選ばず、快適に書ける「紙」がキャンパスノートの基本

「ノ-3A」表紙

これが、現在の5代目キャンパスノート。この「ノ-3A」という品番のタイプが、最もスタンダードな「キャンパスノート」だ

「例えば、『ノー3A』というキャンパスノートを代表する品番がありますが、このノートはどんな筆記具で書いても、どんなシーンで書いても、多くの方に使いやすい、書きやすい、心地いいと感じていただけるような製品を目指しています。

例えば、高校生であればメインの筆記具はシャープペンですし、大人はボールペンですよね、そのどちらかに特化した紙というのも作れるのですが、『ノー3A』に関しては、どのような筆記具で書いても書きやすいし、ボールペンや万年筆でも裏うつりしにくい、扱いやすいというような紙を目指して作っています」と絵馬さん。
キャンパスノート原紙の拡大写真

キャンパスノートに多く使われている筆記具を選ばない紙の拡大写真

例えば「キャンパスノート(用途別)」の小学生向けの製品では、鉛筆で書きやすく、消しゴムで消しやすいといった機能に特化した紙を使うなど、製品コンセプトによっては、使われている紙も違ってくるのですが、多くの製品は「ノー3A」で使われている、筆記具を選ばない紙が採用されています。

その方針はキャンパスノート初代から同じだそうです。つまり、「誰でも心地よく使えるノート」というのは、キャンパスノートという製品を代表する特長と言えそうです。

「キャンパスノートがキャンパスノートであるために最も重要で、変えられない部分は、“紙の書き心地”ですね。長年使っていらっしゃる方は特に、そこが変わるのは嫌だと思うんです。また、キャンパスノートとして誇れるのは、“耐久性”と“丈夫さ”です。これらは、初代から現在の5代目までずっと向上させています」と絵馬さん。

>次ページ:耐久性と丈夫さを決める重要なポイント
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