これが1975年発売の初代キャンパスノート
キャンパスノートの歴史や表紙、ロゴの変遷については筆者も以前に取材して、何本かの記事を書きました。しかし、「キャンパスノート」はコクヨにとってどのような存在なのか、コクヨが考えるノートとはどういうもので、「キャンパスノート」が「キャンパスノート」であるためにコクヨが守っていることは何かという部分は、あまり語られていません。
今や、「大人キャンパス」や「スマートキャンパス」「キャンパス フラットが気持ちいいノート」などバリエーションも増え、さらには「限定 キャンパス肉球ソフトリング」のような、思い切った表紙デザインの製品も登場しています。
それらが、なぜ「キャンパスノート」のブランドで発売されているのか、他のコクヨのノートと、「キャンパスノート」との境界はどこにあるのか、そういったことを、コクヨでキャンパスノートの企画を担当されている絵馬多美子さんと、開発を担当されている中村ちえ子さんに伺いました。
筆記具を選ばず、快適に書ける「紙」がキャンパスノートの基本
これが、現在の5代目キャンパスノート。この「ノ-3A」という品番のタイプが、最もスタンダードな「キャンパスノート」だ
例えば、高校生であればメインの筆記具はシャープペンですし、大人はボールペンですよね、そのどちらかに特化した紙というのも作れるのですが、『ノー3A』に関しては、どのような筆記具で書いても書きやすいし、ボールペンや万年筆でも裏うつりしにくい、扱いやすいというような紙を目指して作っています」と絵馬さん。
キャンパスノートに多く使われている筆記具を選ばない紙の拡大写真
その方針はキャンパスノート初代から同じだそうです。つまり、「誰でも心地よく使えるノート」というのは、キャンパスノートという製品を代表する特長と言えそうです。
「キャンパスノートがキャンパスノートであるために最も重要で、変えられない部分は、“紙の書き心地”ですね。長年使っていらっしゃる方は特に、そこが変わるのは嫌だと思うんです。また、キャンパスノートとして誇れるのは、“耐久性”と“丈夫さ”です。これらは、初代から現在の5代目までずっと向上させています」と絵馬さん。
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