テーブルライトはデザインと技術の融合で作られる
ミネベアミツミ「SALIOT pico」スタンドタイプ。価格は送料、税込で2万円(1W、1灯)~3万9800円(3W、3灯)※別途、壁付けタイプもあり。購入はミネベアミツミ・オンラインショップ(https://shop.minebeamitsumi.com)またはAmazonで
さらに遡れば、30年代に生まれたヴィトラの「Lampe de Bureau(ランプ・ド・ビューロ)」やルイス・ポールセンの「A」などもあり、それらは、今でも電球部分をLEDに変えるなどして、愛用されています。
その後も、バルミューダの「Airline(エアライン)」や、スワンの「LEDICEXARMMONO(レディックエグザームモノ)」、新しいところではストーリオの「TANZAKU Lamp(タンザクランプ)」など、名作が次々と生まれています。また最近では、スマートフォンなどと連携して、照度などを変えられる機種も当たり前になってきました。
ミネベアミツミの「SALIOT pico」も、そうしたデスクライト、テーブルライトの歴史の中でエポックメイキングな名品の一つとして残る製品ではないかと、筆者は思うのです。
太陽の光の下で見るような鮮やかな色を
「SALIOT pico」の最大の特長は、その光の質です。太陽の光の下で見る色を100として、その光の色再現性(演色性といいます)を示す指標「Ra値」がありますが、この製品のRa値は97。一般的な蛍光灯が60程度、90を越えていれば高品質といわれる家庭用照明機器の世界の中では突出した値になっています。これが実現できたのは、元々ミネベアミツミが美術館などの照明を手掛けていて、その技術を持っていたこと。そして、それを家庭用の製品でも使おうと決断したことによります。
普通に考えて、家庭用照明でここまで太陽光に近い演色性は必要ないと思います。しかし、これが使ってみると快適なだけでなく、汎用性もあることに気がつきます。例えば白い紙は白く、黒い文字は黒く見えるのです。筆者であれば、製品のレビューを書く時に、手元にある、そのモノの色がハッキリ分かるのはとても助かります。
質の高い光を自在にコントロール
しかも「SALIOT pico」は光源がスポットライトの形で、本体はレールになっています。そのため光の方向を自由に変えられるだけでなく、ライトの高さや照射範囲も変えられるのです。例えばキーボード全体を照らすとか、手元のメモ帳だけを照らすといったコントロールができます。さらに、購入時にスポットライトを1~3個まで、スポットライトの明るさを1Wタイプと3Wタイプから選べます。自分の環境に合わせた構成で購入できるのは、照明機器としてかなり画期的なスタイルですね。仕様(スタンドタイプ)はすべて378mm×85mm×85mm(高さ×幅×奥行)で、重さは灯数によって856~1006gとなっています。
・「SALIOT pico」製品概要一覧はこちら(ミネベアミツミのプレスリリースより)
筆者は2台のパソコンを使って仕事しているので、「SALIOT pico」を机の中央に置き、下の2灯を右側に向けてメインで使うほうのキーボードと手前のメモや資料を読むスペースを照らし、一番上の1灯を左に向けて、左に置いたキーボード全体を少し高い位置から照らすようにセッティングしています。こういう左右の振り分けができるのも、このライトの嬉しい点ですね。光源が直接目に入らないので、仕事用の照明として最高なのです。
スマホアプリで明るさを細かくセッティング
明るさの調整はスマートフォンの専用アプリから行うのですが、これがまた凝っています。3灯それぞれの明るさを調整できるのは当然として、それぞれの明るさやオン/オフをひとまとめのセットとして登録できるのです。例えば筆者の場合、左だけをオンする設定、右向きの2灯のみをオンにする設定、両方をオンにする設定。さらに小物の撮影などに使う場合の明るさに設定したものの4通りのプログラムを記憶させています。こうしておくと、いつでもその設定を呼び出せるわけです。本体のスイッチで最後に使った設定のまま、電源のオンオフできるのも便利です。
実はこのスマホアプリも、美術館などで使われているものと同じものを採用しています。こうした細部まで、家庭用だからとスケールダウンせずに、プロ用の照明機器として製品化しているのが「SALIOT pico」の最大の魅力だといえます。
今までにない光環境を家庭で味わえる名品
実際、インスタグラムなどをよく使う人なら、この光の下で撮る食べ物や花、文房具などがとてもキレイな色で撮れることに驚くと思います。また、製品を横倒しにして使うこともできるので、棚の後ろなどに置いて、間接照明のライトとして使うこともできるのです。それこそ、美術館や高級ホテルのパーティー会場のような雰囲気のある光が簡単に手に入ります。ベッドサイドでスポットライトを絞り込んで使えば、隣で寝ている人に迷惑を掛けずに本が読めたりもします。これだけの高性能の割に価格も手頃ですし、とにかく一度試してもらいたい照明なのです。