低粘度油性ボールペンの新しい形
三菱鉛筆がジェットストリームを発売して以来、油性ボールペンの歴史は大きく変わってしまいました。今や、油性インク特有のゴロゴロした書き味や、べったりした重さなどは覚えている方の方が少ないのではないでしょうか。そのくらい、現在の油性ボールペンは低粘度油性インクが主流になり、水性ボールペンのような滑らかな書き心地が当たり前になっています。トンボ鉛筆の「モノグラフライト」も、低粘度油性インクを使った、滑らかに書ける油性ボールペンのひとつなのですが、少し新しい工夫が施されています。それは、ペン先が油性ボールペンでは一般的なコーン型(円錐状のペン先)ではなく、ゲルインクボールペンに多いニードルチップ型(先端が細いパイプのようになっているペン先)だということです。
ペン先が見やすいから細かい文字も書きやすい
実際に書いてみるとこれまでの油性ボールペンに比べて、明らかに細かいスペースへの文字の書き込みが楽に行えました。書きたい場所に正確にペン先を持っていけるし、書いている線が見やすいため、複雑な漢字もごまかさずに書くことができます。私は筆記具の先端付近の見晴らしがいいペンが好きなのですが、その点で、「モノグラフライト」は、トップクラスのペンだと思いました。書きやすさの秘密は、他のニードルチップのペンと比べても長いパイプ部分。まるで製図用シャープペンシルを思わせるほどの、全長5.2mmある長いパイプのおかげで、筆記ポイント周囲に邪魔するものがなく、影もできにくく、とても見晴らしがいいのです。
しかも、この長いパイプはパイプをペン先に取り付けたのではなく、ペン先全体と一体になっているため、多少の筆圧ではびくともしません。細長いパイプながら筆記時に揺れたりしない安定性が、低粘度油性インクの滑らかさと合わさって、狭いスペースにスムーズに書ける筆記感を生んでいるわけです。
手帳からメモ、仕事にまで幅広く使える
価格も198円(税込)と買いやすい価格で、替え芯も110円(税込)で購入可能。ボール径も0.5mmの極細と0.38mmの超極細の2種類が用意されているので、より細い文字が書きたい場合にも対応。にじみにくい油性インクなので、0.38mmだとゲルインクの同じボール径のペン以上に細い線が書けてしまいます。また、エラストマーに特殊テクスチャーを施すことで実現したグリップは、さらっとしているのにしっかりと握れて滑りにくいというのも、この書きやすさの要因でしょう。MONO消しゴムを踏襲した軸デザインにも惹かれてしまいます(もちろん、無地の軸も用意されています)。
私はとても悪筆なのですが、それでも、この「モノグラフライト」を使うと、文字を書いているペン先がハッキリと見えるせいか、読めない文字を書くことがなくなりました。それだけでも、私にとっては普段使いしたくなる油性ボールペンなのです。