マネーtips!お金持ちになるための365日

日本人らしさを活かしてお金持ちになる方法とは

「日本人のまじめさと勤勉さはこれからの時代に大きな武器ですが、同時に足かせにもなっている」というのは『世界一やさしい株の教科書1年生』の著者で経営コンサルタントとして活躍するジョン・シュウギョウさん。中国人など、アジアのお金持ちの人たちの行動の違いとはどのようなものでしょうか?

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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日本人らしさを活かしながらお金持ちになる方法とは

日本のお金の常識に捉われているうちはお金持ちになれない!?
中国、シンガポール、マレーシア、香港などアジア各国・地域を拠点に
ビジネスを展開し、アジアの富裕層を知るジョン・シュウギョウさんが、
これからのグローバル時代にお金持ちになる方法を伝授します

(第4回『日本と雲泥の差!海外のマネー教育の実態とは?』から続きます)
 

羽田空港に着くとホッとするワケとは?

いま私はマレーシアからシンガポール、ベトナム、香港、韓国、日本と各国でビジネスを行っています。成田空港や羽田空港に着くと、なぜかホッとしている自分に気がつきます。ほかの国ではこの感覚はありません。いろいろ日本の問題点も指摘しましたが、私にとっては最も心落ち着く故郷、それが日本なのです。
 
こまやかな心遣いと控えめな優しさは、日本ならではのもの

こまやかな心遣いと控えめな優しさは、日本ならではのもの


こまやかな心遣いと控えめな優しさは、日本ならではのものです。ほかの国はいいも悪くもアグレッシブで元気で向上心に溢れています。それだけに競争も激しい。「俺が俺が」という自己主張をしなければ負けてしまいます。
 
ガツガツしない余裕は、もしかしたら成熟した社会と人だけが持ちうる美徳かも知れません。ただし問題はグローバリズムの競争の中で、その美徳が弱さにもなり得るということなのです。
 
美徳を生かしながら、さらに強さを兼ね備えるにはどうすればいいか? まず個人の自由な発想を重視した創造性を高めるということです。日本の基礎教育は素晴らしいものがあります。知識を蓄えるという意味での基礎教育が日本ほど進んでいる国はないのではないでしょうか。
 

ダメだしではなく日常生活やビジネスの場面で「いいね」を!

ただし、そこから先、その知識を生かして自分の頭で考え、創造性にまで高めるということになると、苦手なのが日本人だと思います。欧米などでは中学生になった頃から知識を詰め込む勉強よりも、ディスカッションなどを通じて自分の意見をまとめ、それを他者に伝えることを学びます。自分の意見を持ち、自分を確立するということは、創造性へと直結します。
 
私自身、10年ほど日本の企業で仕事をしていたのですが、よく上司と揉めました(笑)。違和感があったのが減点主義です。机に座った瞬間から上司に「君こんなことはしちゃダメだよ」「あんなことしたらダメだよ」とダメ出しの連続です。
 
ちなみに華僑の人たちのコミュニティでは、否定する言葉がほとんど使われません。どんな相手に対しても「ここはいいね」とか「これは素晴らしい」とまず褒め言葉から入ります。そしてダメなところはダメだとは言わない。「ここをこうしたらもっとよくなるのでは?」「これを変えたらもっと良い商品になると思います」と、プラスの表現に変えて伝えます。
 
彼らは相手のメンツを潰さないよう注意を払います。第三者のいる前で相手を否定したり怒ったりすることは絶対にしません。余計な敵を作ることが、後々で大きなマイナスになることがあると知っているのです。
 
実際世の中はどこでどうつながっているかわかりません。敵対した人物がビジネスの中で将来どんな関わりを持つか、予測がつきません。敵を作ることのリスクとマイナスを彼らは十分理解しているのです。
 

反省会が創造性をどんどん奪っていく……

私は日本企業にいるときの「反省会」が一番嫌いでした。もちろん事後の反省というのは必要です。でも反省はその先に「だからこれからはこうしよう」とか、「今後はこう改善しよう」という前向きな姿勢がなければ意味がない。ちなみに海外では「反省会」というものはありません。
 
20分反省したら40分は今後のこと、これからのことを議題にしてほしい。ところが1時間ただただ反省するだけ。お通夜のような雰囲気が私には苦痛で耐え切れなかった。若さもあり、私は後ろ向きの会議に出ることを頑なに拒否し続けました。それで上司とけっこうぶつかりました(笑)。
 
日本の場合、創造性を押さえる力は組織の力学のなかでも働きます。日本の組織や社会は突出した個人を嫌います。出る杭は打たれるという言葉がありますが、自分たちよりも能力があり、成果を挙げているものに対して嫉妬したり、足を引っ張って引きずりおろそうとする力が働きがちです。
 
中国人など、アジアのお金持ちの人たちのつながりでは、嫉妬が何も生み出さないことをよく知っています。能力がある人がいたら足を引っ張るのではなく支援したり投資する。そしてその人を上に上げることで自分たちもまた上に行く。プラスのスパイラルを築くことだけを考えます。
 

重要な情報はマスメディアからは入ってこない

アジアのお金持ちは本当に重要な情報は人からしか入ってこないと考えています。インターネットやSNSはもちろん、マスメディアの情報も信用していません。いずれもどこかでバイアスが掛かって偏っていると考えています。
 
気になるニュースをテレビで見たら、すぐに知り合いのその道に詳しい人物に電話で確認します。すると報道ではこうだが、じつはその背景にあるのはこれこれだと裏事情がわかる。メディアやネット情報に惑わされないので正しい判断ができる。それが仕事や投資などにつながり、お金につながっていきます。
 
だからこそ彼らは人を人種や性別などの属性で差別することは一切ありません。能力があり誠実で、明るく前向きな人間に対して、つねにオープンマインドなのもお金持ちの特徴です。
 

まだまだお金持ちになれる日本と日本人

私はアジアを中心にさまざまな国や地域でビジネスをして、多くのお金持ちに会うことができました。そのなかでお金持ちになる人たちの行動原理や考え方を自然に知ることができたと思います。その観点から日本や日本人の特殊性や特徴というのも浮かび上がってきます。
 
日本経済にはかつてのような勢いはないかもしれません。しかし各国の道路には日本の車がたくさん走り、家庭には日本製の家電製品が並んでいます。そして誰もが日本製品の性能の良さを知っているし、それを生み出す日本と日本人をリスペクトしているのです。
 
日本の家電メーカーの凋落は残念ですが、いっぽうで信頼と支持は連綿として続いています。日本の人たちはそのブランド力を誇りにして、自信を持ち続けてほしいと思います。同時にこれからの激しい競争時代を生き抜くためのリテラシーをぜひ身につけてほしい。
 
明確な答えは私自身もわかりませんが、少しでもそのヒントになれば幸甚です。日本の人たちがお金に前向きな気持ちを持つことができれば、ガツガツした新自由主義的な経済とは別の価値観が生まれてくるかもしれません。誠実でまじめで、成熟した社会に住む日本人発の、新しい経済の潮流が生まれてくると信じています。

★ジョンさんのインタビューのバックナンバーはコチラへ!
ジョン・シュウギョウさんが語る!「アジアのお金持ちの法則」


教えてくれたのは……

ジョン・シュウギョウさん

 
 

 

1971年韓国生まれ。TBL投資アカデミー代表。経営学修士(MBA)。韓国の軍務服務時に日本語を独学で習得。1997年に留学生として来日。3年間で大学のすべての単位を取得し飛び級卒業する。経営学修士(MBA)を取得後PwC、KPMGなどの会計法人のコンサルティング部門で経営コンサルタントとして活躍。投資に目覚め、独立。TBLアドバイザリーを設立し、東京を中心に投資学校を運営する。現在はマレーシア、シンガポール、ベトナム、香港などに法人を立ち上げ、投資セミナーや経営コンサルティング、ビジネスコーチングなどを行う。現在はマレーシアのペナンに家族とともに暮らし、アジアの各拠点を回りながら仕事をこなす。主な著書に『世界一やさしい株の教科書1年生』(ソーテック社)など。

取材・文/本間大樹
 
 
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