日本一売れている駅弁、崎陽軒のシウマイ弁当のひみつに迫る!
1日平均約2万3千個が作られ、日本一売れている駅弁、崎陽軒(きようけん)のシウマイ弁当。横浜ならではのシウマイ弁当誕生のエピソードや、どの向きで食べるのが正解なのか、崎陽軒のシウマイ弁当の11のひみつを暴露します!ひみつ1:シウマイ弁当の誕生
1908(明治41)年に横浜駅構内の売店からスタートした崎陽軒。しかし当時は、横浜では駅弁の需要が少なかったそう。というのも、東京駅発の乗客はすでに駅弁を買っており、東京駅で降車する客は駅弁を食べる時間がなかったからです。特色のない弁当を売っていてもダメだと考えた初代社長・野並茂吉氏は、横浜駅の名物を作ろうと横浜中華街の突き出しとして出されていたシュウマイをヒントに「冷めてもおいしいシウマイ」を開発・製造し、1928(昭和3)年に販売を開始しました。このシウマイ、販売当初はあまり売れなかったのですが、1950年に「シウマイ娘」という売り子を登場させると、小説や映画に取り上げられるほどの爆発的な人気を博しシウマイの知名度も一気に上がっていったといいます。もともと駅弁屋だったため、1954(昭和29)年、このシウマイにご飯とおかずを加えた「シウマイ弁当」を発売開始。シウマイが横浜名物として広まっていたため、シウマイ弁当の売れ行きも予想以上によく、シウマイと並ぶ崎陽軒の第二の大黒柱になるのに時間はあまりかからなかったそうです。
ひみつ2:掛け紙は現在4代目
シウマイ弁当に欠かせない掛け紙。定番のシウマイ弁当の掛け紙のデザインは現在4代目。このほか、横浜開港祭などのイベント時、横浜スタジアム等での販売時には特別デザインの掛け紙も登場します。ひみつ3:シウマイ弁当のカロリーは約800キロ
1954(昭和29)年、“シウマイをメインとした横浜の幕の内風弁当”として、幕の内弁当の三種の神器とされていた「焼き魚・かまぼこ・玉子焼き」に加え、横浜名物のシウマイ、主悦(しゅえつ、福神漬けを発明した東京の老舗)の福神漬け、横浜蒲鉾の三名品が入ったお弁当として誕生。栄養を第一に考え、800キロカロリーを目指して開発されました。現在のシウマイ弁当のカロリーは732キロカロリーとなっています。ひみつ4:発売当時、シウマイは4個だった!
シウマイ弁当のおかずは次の通り。昔ながらのシウマイ5個、鮪(マグロ)の照り焼、かまぼこ、鶏唐揚げ、玉子焼き、筍煮、切り昆布&千切り生姜、俵型ごはんの上にのっている小梅&黒胡麻。実は、シウマイ弁当が発売開始となった当時はシウマイは4個でした。このほかのおかずは、エビフライ、ブリの照り焼、玉子焼き、蒲鉾、福神漬け、昆布佃煮、筍煮。ごはんは現在と同じ俵型です。
シウマイが4個から5個になったのは、1974(昭和49)年のこと。時代のニーズに合わせたとのことで、1個はみ出すような形となりました。シウマイのサイズはシウマイが発売された1928(昭和3)年から変わっていません。
「ごはんがおいしい」と評判のシウマイ弁当ですが、「蒸気炊飯方式」により米を蒸しているのがおいしさの秘密です。おこわのようなモチモチとした食感になり、また経木の弁当箱に入れることで“おひつ”のようにほどよく水分が保たれ、べちゃべちゃすることもありません。
当時の主な価格と内容の変遷は以下の通り。
1954年:100円 エビフライ、鮪ではなくブリが入っていた
1974年:400円 シウマイ4個から5個へ
1983年:600円 あんずがサクランボに変わったが5年ほどであんずに戻る
2003年:710円 レンコンの炒め煮に変わり玉子焼きが復活、リニューアルにあたり記者会見を開く
2003年以降、おかずの変更はなし。2019年4月現在の価格は860円(税込)。
ひみつ5:「筍煮」だけ食べられる場所がある
シウマイ弁当の名脇役として不動の人気を誇る「筍煮」。レシピは明かされていませんが、とてもシンプルな調味料で大量に煮ることで、しっかりと味がしみ込んだおいしい筍煮に仕上がるのだそう。この「筍煮」、東京駅内に2016年11月にオープンした「横濱 崎陽軒(シウマイBAR<バル>)」の店内メニューで提供されているのをご存知でしょうか。蒸し立てアツアツの崎陽軒のシウマイが全種類食べられるほか、この「シウマイ弁当の筍煮(300円)」や「シウマイ弁当のマグロのネギ和え(300円)」などがおつまみメニューとして提供されています。筍煮を好きなだけ食べられるのは、シウマイBARだけ。2019年4月現在は、東京駅内、横浜中華街、横浜駅東口「アソビル」内にシウマイBARがあります。
URL:シウマイBAR(バル)
ひみつ6:あんずはいつから登場した?
「最後に食べる」派が多いあんずですが、1968(昭和43)年におかずとして仲間入りしました。崎陽軒の広報担当者によると、採用された理由は記録されていませんが、保存性や口直しとしての存在を考慮して、甘みと酸味を兼ね備えたあんずが採用されたのではないでしょうか、とのお話でした。ひみつ7:どの向きで食べるのが正解?
ネット上で幾度となく議論されてきた、「シウマイ弁当をどの向きで食べるか」。これが結構、バラバラなようで、「ごはんを左」「ごはんを右」「ごはんを下」という3つのパターンに分かれるようです。
横浜ガイドがシウマイ弁当を横にして撮影していた時のこと、ごはんを左に置くと、おかずが正面を向いていません。ごはんを右に置くと、おかずが正面を向いているではありませんか! 「ごはんは左、おはしは右」と言われて育った世代には、ごはんが右というのはどうも違和感が……? なぜごはんが右側の時、おかずが正面を向いているのか。そのひみつは工場見学で明らかになりました。
工場では、スタッフが左手に経木の弁当箱を持ち、右側にごはんを詰めています。そのまま横にスライドしておかずを詰めていくため、ごはんが右側の時、おかずが正面を向く、ということになります。
では、どの向きで食べるのが正解なのか、広報担当者に伺うと、「お客さまのお好みの向きで召し上がっていただければ、と思います。崎陽軒といたしましては、駅弁として列車の中で食べた際、膝の上で食べられるよう縦に持ったであろうことから、ごはんを下側にして紹介しております」とのこと。それで、ホームページなど、縦向きになっている画像が多い、というわけでした。
ひみつ8:詰めるのが一番難しいおかずとは
崎陽軒 横浜工場では、シウマイの製造ラインに加え、2017年8月からシウマイ弁当等の製造ラインも見学できるようになりました。詰めるのが難しく、ベテランスタッフを配置するおかずは「ショウガ&コンブ」。両手を使い、かつ、端のスペースに美しく入れるのが難しいそうです。ひみつ9:横浜で作られた証!シウマイ弁当の紐
シウマイ弁当は、横浜にあるふたつの工場で製造されたものと、東京都内の工場で製造されたものとは違いがあります。それは「紐」。横浜の工場で作られたものは十字に紐がかけてあり、東京の工場はかぶせ蓋になっています。 この紐、人の手で結んでいるのですが、1時間で約120~150個ほど結べるそう。年末年始や連休などの帰省シーズンは、最大約3万9千個もシウマイ弁当を製造したことがあり、社員総出で紐かけをしたとか(崎陽軒の社員は皆さん、紐かけができるんですって!)。リニューアルした横浜工場では、秘密兵器「紐かけ機」が登場。本格稼働すれば、1時間に720個結ぶことが可能になります。「紐」にかけるアツい思いがうかがえます。
ひみつ10:崎陽軒の社員は「シ弁」と呼ぶ
崎陽軒ではいろいろな社内用語があります。例えば、シウマイ弁当は「シ弁」、「横濱チャーハン」は「横チャ」、「昔ながらのシウマイ 15個入」は「昔15」など。取材していて驚いたのが、弁当の数を「本」ということ! 取材時に広報担当者が「シウマイ弁当は1日平均23000本、つくっています」と言い、記者から「本というのは個に置き換えてもよいのですか」と質問が出ました(笑)。なぜ「本」というようになったのかは不明とのことです。ひみつ11:シウマイ弁当に合うお茶がある
2015年8月に発売開始された「崎陽軒のお茶」をご存知でしょうか。「シウマイ、お弁当によく合うお茶」をコンセプトに、オリジナルのお茶を開発。佐賀県産釜炒り茶と、宮崎県産一番茶をブレンドした緑茶は風味豊かで、食べた後の口の中がすっきりする感じ。1本120円(税込)なので、シウマイ弁当と一緒にお試しあれ。シウマイ弁当にまつわるひみつを思い浮かべながら、シウマイ弁当を食べてみてはいかがでしょう。その際は、お好きな順番、お好きな向きでどうぞ!
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