DIANE von FURSTENBERG(ダイアン フォン ファステンバーグ)
テイラード感の高いスーツやタキシードはこれまで正統派的な風情や英国紳士風の品格を寄り添わせる「借り物」的な表現だった。しかし、フォルムは紳士服の系譜を受け継ぎながらも、色の常識を飛び越えてみたり、レディーライクなブラウスと引き合わせてみたりといった新感覚の操り方が今までにはないこなれた着姿に導く。統一感が持ち味のスーツが上下そろいの「セットアップ」に読み換えられ、デザインの自由度は飛躍的に広がった。両袖を裁ち落としたかのようなベストとのセットアップは流麗なシルエットを描き出す。たおやかムードのレイヤードはジェンダーの壁をするりとすり抜ける。ワンピース風のグラフィカルなモチーフをモノトーンで配す試みは、オンとオフの境目をぼかし、セットアップの居場所を広げる。
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