No important endeavour that required innovation was done without risk. You have to be willing to take those risks.
イノベーションを必要とする企てが、リスクなしに達成できたためしがない。喜んでリスクをとる、そんな姿勢が必要なんだ。
No important endeavour without risk 「リスクなしに達成できたためしがない」
最近始まったカンヌ映画祭、「アバター」が出品されていないのは残念ですね。2,000億円とも言われる史上ナンバーワンの興行収入ばかりに目がいきがちですが、その映像クオリティの高さにも折り紙付きで、誰もが魅了されると思うんでですけど…、ちょっとガッカリ。 でも、「そんなの気にしないゼ」とばかりの男気を感じるのが、同作を手掛けたジェームズ・キャメロン監督の言葉。“No important endeavour … without risk”と、「二重否定」と言いますが、否定形を二回くり返す表現でキッパリと映画作りにはチャレンジ精神が必要であると言い切っています。たしかに、「アバター」の制作にあたっては、なんと300億円ものお金が投資されたそうですから、並みの精神ではやってられないのでしょう。
キャメロン監督、今は「アバター」で大注目ですが、過去にメガホンを取った作品を見てみると、その圧倒的な成功にはオドロキを隠せません。「タイタニック」、「ターミネーター」、おまけに「エイリアン2」と、興行的な成功はもとより、人々の記憶にも残る名作ばかりであることに気づくでしょう。「監督!その成功の秘訣は?」と問えば、おそらく今回の本文にも入っている“innovation” = 「イノベーション、革新」と答えるハズ。もちろん「アバター」のCGによる技術革新もすごかったのですが、「ターミネーター」での主人公像の「革新」こそキャメロン監督の真骨頂。シュワルツネッガー演じる悪役のインパクトはスゴくって、それがヒットの大きな原動力になったことは誰もが知るところ。いわば、常識にとらわれず、リスクを恐れず、新たなものに挑戦することが映画という投資で成功する秘訣なのでしょう…。
というのが、実は今の日本経済に求められているものでもあるんです。「失われた20年」とか言われている経済の低迷が続いている中、なかなか「大ヒット」は生まれない状況です。これを破るカギが、常識にとらわれず、リスクを恐れずドカンとビジネスに投資をして新たな産業を生み出すことで、まさにキャメロン監督が言っていた「イノベーション」に他なりません。もちろん、コスト削減やリストラなどの「伝統的」な企業努力が大切なのは否定しませんし、実際にそのおかげで日本経済が持ち直しつつあるのも認めます。ただ、「革新」を志向するイノベーションと伝統的な手法はなかなか両立しにくいので、成長を求めるならばどこかでイノベーションに舵を切らねばならないのでは?と思うのです。
そう考えると、実はカンヌ映画祭にキャメロン監督の作品が出品されていないのは当然と言えるかもしれませんね。なにせ60年の伝統と格式を持つ映画祭ですから、「革新」をモチーフにする監督とは相容れない点があってもやむを得ないと言えるでしょう。
今回は「経済ダイヤモンドモデル」の中では「株価≒景気」にフォーカスをあてました。日本だって昔のように着々と経済が成長していく環境下ならば、金利や為替を微調整することで豊かな未来は達成可能かもしれません。でも、今は状況が違って、爆発的な株価の伸びを期待するには、「イノベーション」という外部からの刺激が必要になるのでしょう。