思っているほど扱いにくくない
日本人にも優しいモデルに進化
実はこのナイトロッド スペシャル、“スペシャル化”してから2012年に一度リバイバルしているのです。以前のモデルには過去に乗ったことがあったのですが、「さすがはアメリカ人のためのバイク!」と、その乗りづらさに感嘆の声をあげたものです(笑)。何が乗りづらかったかというと、[ハンドル][ステップ][シート]の3点からなるポジション。ハンドル位置がかなり遠く、ステップもフォワードコントロールとされ、これでシートに深々と座って走り出すと、体が“くの字”を描いたポジションになり、この状態でロングランともなると、しばらくして腕や足が疲れてきてしまうのです。そうした“乗りづらい”イメージが強かったナイトロッド スペシャルですが、リバイバル後の本モデルに乗ってみると……以前のような乗りづらさはどこへやら、むしろコントローラブルになっている印象すらありました。メーカー写真を見比べても、ハンドルはともかくステップ位置は変わっていなかったので、ライダーの体をホールドするシート位置が前めに変更されたのでしょう。体が後ろにずれていかなければ、フォワードコントロールであってもしっかりと踏ん張ることができます。
誰もが思い描くハーレーダビッドソンとは違い、レスポンスのいいシャープなエンジンフィーリングが魅力のVロッド。走り出しからハイウェイライドまでスポーティに駆け抜けていってくれます。フロントには高性能ブレーキがふたつ備えられているなど、制動能力も非常に高いです。スポーツスターとはまた違った“走りのハーレーダビッドソン”ですね。間違いなく大柄なアメリカ人を想定したポジションではありますが、2012年のリバイバルによって日本人にも優しいモデルへと進化したのだと思いました。
個性が際立っていることは
同時に操る難しさもあるということ
それでも気にかけておきたいのは、カーブやコーナーに飛び込む際の操り方。FXSB ブレイクアウトやFXDWG ワイドグライドといった類似モデルに乗る機会もあり、私は危なげなく乗るよう心がけていましたが、それでも走った先の状況を常に意識していないと、急な回避行動が求められるときにその特異なポジションが足かせとなってしまうことも。決して危険な乗り物ではありませんが、「他のモデルとはひと味違ったバイク」であるということは、メリットとデメリットの差が大きいということを知っておいていただきたいのです。ハーレーダビッドソン モーターカンパニーが次の100年を見据えて世に送り出したVロッド。他メーカーとは違った個性を有しているモデルの真なる魅力は、実際にオーナーになってみないと引き出せないのでは、と思うことも。近未来のハーレーダビッドソン Vロッドの人気モデル VRSCDX ナイトロッド スペシャル、跨がってみれば、虜になってしまう魔力を秘めてそうです。