自然の驚異が“アート”を生み出す寺院「タ・プローム」

 

 

 

 

 

 

12世紀後半にジャヤヴァルマン7世が設営した帝都、アンコール・トムの敷地内には、バイヨン、バプーオン、ピメアナカス、タ・プロームなどの仏教寺院が数多く建立されました。なかでも、タ・プロームは独特の景観をもっています。

1186年に創建された当初は仏教寺院でしたが、その後ヒンドゥー教の寺院に改築されました。東西1000m、南北600mのラテライトの壁の中に、5000人余りの僧侶や600人を超える踊り子たちが住んでいたと伝わっています。

寺院の敷地内には数々の建物が建ち、寺院全体は迷路を作っているようです。ガイドと一緒でなければ、道に迷って寺院から外に出ることができなくなりそうです。

この寺院の特徴は、建築物や彫刻ではなく、人口の建築と自然のせめぎ合いが敷地内に繰り広げられていることです。熱帯に育つガジュマルの一種、スポアンが、人間の作った寺院の建物や彫刻を押し潰しています。

スポアンの根が、石の壁の隙間に入り込み、壁を這う大蛇のような姿になっています。人工の物と自然の物が共存しているというより、自然の脅威・猛威に建造物が圧倒され、神聖であるはずの宗教施設が廃墟と化しています。

遺跡は手を加え修復し、できるだけ往時の姿で残されようとされますが、この寺院には人の手は加えられず、時々刻々と自然が変化を作り出す姿で残されています。ユニークな景観に自然の驚異を感じますが、視点を変えてみると自然が造り出すアートになっています。


■タ・プローム
住所:Angkor Archaeological Park, Siem Reap, Cambodia
営業時間:終日
定休日:年中無休
ホームページ:タ・プローム

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