茨城・勝田から千葉・幕張まで小旅行
茨城の「勝田」で常磐線に乗り、那珂川(なかがわ)を越えてひと駅「水戸」で降りた。水戸で鹿島臨海鉄道に乗り換え終点「鹿島神宮」まで南下し、さらに鹿島線で佐原、成田線で千葉、総武線で自宅のある幕張へとたどる。幾度も鹿島臨海鉄道の高架橋や駅舎は見ていたが実際に走る列車に遭遇
したことがない。ましてや乗車するのは初めてなので、大いにワクワクドキドキだ。
駅の時刻表を確認すると鹿島神宮行きは16時18分。40分近くある。改札を出て、コンコースの蕎麦屋に入る。冷奴ともり蕎麦、それに水戸の酒「一品」をお燗でもらった。光圀公謂れの笠原水源の水を仕込みに使っている酒。藤田東湖も愛飲した酒だ。
コンコースでパン屋を探す。神戸屋でペストリーとホットコーヒーを買い、ホームに急いだ。丁度、二両編成のディーゼルカーが入って来た。乗客が降車すると、一旦ドアは閉まり、折り返しのため、車掌氏がクロスシートの背もたれを反対に倒して、一息間をおいてドアが開いた。
海がちょっと見えるはずの左の窓側に座った。徐々に席は埋まり、ブリブリグルングルンとうなりながら発車した。少々常磐線と並んで走り、すっと高架線となって、大きく左に曲がって行く。
一つ目の駅「東水戸」で、3分停車。車内を見渡すと、お年寄りと家族連れで八分の入り。無人駅が多く、白の抜き文字の赤い名札を付けた車掌氏は券売、改札、検札と忙しい。誰が乗って来て、どこに座っているか憶えておかないといけないようだ。
上り列車が着いて、まもなくドアが閉まり発車。車窓より側壁が低く、架線や電柱など遮るものもないので、空を飛んでいる気分だ。速度がもう少し遅ければ熱気球である。左手に那珂川に架かる東水戸道路の白いハープ橋が徐々に後ろになって行く。
広大な緑色の田んぼのど真ん中に停車した「常澄」は天空のホーム。改札のため、ホームを走る車掌氏の影がブラインドに映る。赤いアーチ橋が見える。河口に近い湊大橋だ。伸びあがって先頭を見ると、まみえ(眉毛)のように先まで高架橋が続いている。
「大洗」。海水浴帰りの家族客多数。と思いきや、一組の老夫婦がホームに立っていただけ。マリンタワーとその先にちらりと太平洋が見える。たぶん臨海鉄道で海が臨めるのはこの一瞬だけになるはずだ。
この後、緑の大地を走って行くのだが、後は乗ってみてくださいな。
■鹿島臨海鉄道株式会社
住所:茨城県東茨城郡大洗町桜道301
電話:029-267-5200
URL:http://www.rintetsu.co.jp/
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