投信積み立てでおおらかな投資を実現する
澤上:村岡さんは、ファイナンシャル・プランナーとして資産運用のアドバイスなどをしているんでしょう?
村岡:はい。しかし、相談されるお客様の中には、将来に向けてお金を増やしたいと考えている方は多いのですが、投資は難しそうだし、元本割れする可能性があると思うと怖くて始められない、という人がたくさんいらっしゃいます。
澤上:親の世代は預金でもきちんと利息がついて、年功序列で収入も順調に増えたから、必ずしも投資しなくてもよかった。でも今の現役世代は投資と向き合う必要性が高いよね。ところが、いざ投資しようと思ってまわりを見渡しても、日本には長期投資でじっくりお金を増やしたという成功体験を語れる人がいない。投資で財産づくりしたモデルがないから、恐れてしまうのも無理はない。
村岡:投資は必要だと思うから本も読んだし、セミナーも行った。でももっと勉強が必要でまだ踏み出せない、という人も多いようです。でも、それでは前に進めません。クルマの運転と同じで、やってみなければ分からないし、少しずつ慣れていくことが大切ですよね。投資はお金持ちがすることで、それどころではない、という声も少なくありません。そんな方には投資信託の積立購入が適していると思います。
澤上: 投資は古代バビロンの時代からあるが、いつでもお金持ちがすることと相場は決まっている。もともと彼らはお金をもっているから、投資をおおらかにやっていける。そんなお金持ちのおおらかさが、これから投資しようとしている現役世代にとっても、とても重要なことなんだ。
村岡:おおらかな投資とはどんなものですか?
澤上:株式投資でいえば、株価を追いかけるのではなくて、企業価値をみる、ということ。株価は市場の思惑によって動くことがあるけれど、企業価値が高まれば、いずれ株価は企業価値に追いついてくる。だから安いときに買うことが大切で、企業価値の高まりをのんびりと待っていれば、いずれ株価は上がる。価値のある企業を、安いときに買って、上がったら売る。時間を設定せずにおおらかな気持ちで投資すれば、それほど怖いものではないはずなんだ。
村岡:なるほど。私のお客様の中には、投資に慎重な人が多い一方で、投資に積極的な人は、注目されている投資先に集中して投資する、という傾向もみられます。これは澤上さんのおっしゃるおおらかな投資と違い、資産形成をする、という目的には合わない投資行動だと思うんですよね。
澤上:目の前のことだけ見て投資していると、何度やっても、儲かったり損したりを繰り返すだけ。いつまで経っても、お金は増やせない。もっと視野を広げて、時間に期限を設けず、じっくり向き合うことが重要だよね。
村岡:同感です。時間をかけてじっくりと、という意味では、投資信託を積立購入することが、資産形成に適した方法だと思います。
不安が広がるときこそ、長期投資家の出番
澤上:投信の積立購入は少額で始められるから、社会に出たてで経済的にゆとりがない人も、子育てにお金がかかっている人にも続けやすいんじゃないかな。
村岡:そうですね。少しずつ、時間をかけて、というのが資産形成の基本であり、その意味でも、現役世代に適していると思います。ただ、長期間、継続的に積立購入する価値がある投信を選ぶのは、なかなか難しい。ここが、もうひとつのハードルかも知れません。
澤上:投信の中にも、企業価値ではなく、株価を追うタイプのものが少なくない。本格的な長期投資に徹してくれる信頼できる投信でなければ、長期で続けるのは難しいよね。
村岡:私は特定の指数に値動きが連動するインデックスファンドがいいと思っています。国内、先進国の株式、債券に投資するインデックスファンド4本を、積み立てていく。長期保有では信託報酬の水準がリターンに大きく影響しますが、インデックスファンドにはノーロードで信託報酬も抑えられたものが増えています。
澤上:コストはリターンに大きく影響するから、低いものを選ぶことは大切だね。