お金の目的に合わせて金融商品を選ぶのは間違いだった?
教育費、住宅ローンの返済……この先がとても不安
S木:小学2年生と3歳の子どもを持つ専業主婦です。夫は会社員で、月収は子ども手当てを含めて手取りで30万円。月々の支出は、住宅ローンや管理費で12万円、学資保険で5,000円、その他、夫のお小遣いや生活費もかかり、毎月3万円しか貯金できてません。現在の貯金残高は50万円しかなく、この先が不安です。
澤上:大学進学資金を学資保険で準備する考えかな?
S木:そうですね。高校までは毎月の収入からやりくりしようと思っています。
澤上:学資保険は加入時期によっては利回りが低くて、満期金や祝い金が払った保険料を下回るケースもあるよ。上の子が大学入学まで10年あるから、投資に切り替えた方がいいんじゃないかな。貯蓄残高の50万円は予備のお金として銀行に置いておくとして、毎月の貯金と学資保険を合わせた3万5,000円で投資するといい。
S木:投資ですか!? 経験がないし、怖いなあ……。学資保険は教育費と目的が決まっているから、安心できるんですよね。
澤上:これまでの日本人は結婚前後に生命保険に入り、子どもが生まれると学資保険に入り、住宅ローンを組んで家を買った。言い換えれば、人生の節目節目で大きな金融商品を買っていたわけだ。当時は、終身雇用、年功序列で収入が右肩上がりに増えていったから、それも賄えたし、金利も高かったから、それなりにリターンもあった。
S木:今は金利が低いし、収入が増えることもあまり期待できませんよね。
収入が不安定な時代、保険や住宅ローンといった支払いを長期的な支払いを抱え込むことはリスクが高い
澤上:そう。今は特に収入がかなり不安定になっているから、保険や住宅ローンといった長期にわたって支払う必要がある固定費を抱え込むことはリスクが高い。それに平均寿命が男性79歳、女性86歳と、昔に比べて長生きになっているから、老後資金を準備する必要性もこれまで以上に高い。
S木:そうですね……。何だかとても心配になってきました。
澤上:S木さんは家を買ったようだけど、住宅ローンを抱えているのは大きなリスクともいえる。でも、頭金や諸費用として支払ったお金を投資に回していたら、老後まで長い時間をかけてお金を増やすこともできた。
S木:なるほど。固定的な支払負担を抑えてその浮いたお金で投資をし、長期で増やすということですね。
澤上:そう。時間はお子様が大学進学するまでの10年しかないってわけではないよね。あなたが30歳、旦那さんが32歳でしょ。老後の生活まで30年ある。この時間をいかして投資でお金を増やし、その中で教育費が必要なときには教育費として、老後資金が必要になれば老後資金としてお金を使っていくという考え方に発想を転換した方がいいと思うよ。
S木:教育費は学資保険で準備するとか、お金の目的別に分けて準備しなくていいのですか?
澤上:分ける必要ない。教育資金や老後資金用の金融商品は、それに合った機能をつけているから便利かも知れない。でも便利はただ(無料)ではなく、その分、実は裏でコストがかさんでいるはずだ。余分なコストをかけていない、何にでも使えるシンプルな投資運用商品を使った方がいいと思うよ。
S木:確かに、便利なものにはコストがかかっているはずですよね……。教育資金は学資保険で準備する、といった方法ではなく、私たち夫婦の老後までの時間をたっぷり使ってお金を増やし、その中から必要に応じてお金を使っていくということが大事なのですね。
夫のお小遣い3万円は少なすぎる?
夫のお小遣い3万円は少なすぎますか?
S木:夫のお小遣いが月3万円なんですが、会社での付き合いもできない、仕事で必要な本も買えないと嘆いています。でも、余裕がなくて……。3万円は少なすぎるでしょうか?
澤上:気持ちがジリ貧になるのは避けたいね。お金があっても心が貧しくては仕方ない。子育て中は頑張りどきだから仕方ないけど、心が貧しくならないような工夫はしたいな。
S木:夫とお金についてしっかりと話し合った方がいいかも知れませんね。
澤上:細かい話ではなく、夫婦でカッコいいお金持ちの話をするといいよ。私は海外でお金持ちの資産運用をしていた時期があるけど、そういった人たちの中に、お金は持っていながら一生懸命働いてつつましく暮らしている人をたくさんみた。必死で働き、つつましく暮らすことは、子どもへの教育としても大切なこと。