教育費の準備で精一杯。投資する余裕はない?
教育費の準備と住宅ローンの返済で家計がいっぱいいっぱいで……
F山:子どもが大学生と中学三年生で、教育費の負担が大変です。そうはいっても次男の大学進学にかかるお金も必要なので、なんとかやりくりして、月3万円を貯金しています。
澤上:子どもが大学生の時期は最も家計が苦しい時期。それでも貯金しているのは、立派だね。
F山:今のままでは定年後も住宅ローンが残ってしまうので、頑張らないと。貯金が300万円、ほかに50万円位、株を持っていますが、今は他に投資にお金を回せる状態ではないですよね?
澤上:いや、そうでもないよ。次男が大学生になるときには長男は卒業しているから、今後も毎月のやりくりはそんなに変わらないよね。それなら用意すべき教育費は次男の大学の入学資金。あと3年あるから、私のような長期投資家からしたら、すぐに投資をしなさい、と言いたいね。
F山:ボーナスからも少し貯蓄できるので、毎月の貯蓄と合わせれば、入学資金は準備できますね。でも、3年後にお金が必要なのに、投資なんてリスクのあることをしても大丈夫なんですか?
澤上:まあ聞きなさい。今、毎月3万円貯蓄しているから、これを3年間続ければ元本だけで108万円になる。でもそのお金を銀行に寝かせておきながら積み立てるではもったいない。
F山:たしかに預金ではそれ以上ほとんど増えないですよね。でも、何に投資すればいいのでしょう?
澤上:毎月3万円の貯蓄は投資信託の積み立て購入に回してはどうだろう。
F山:投資信託は元本保証ではないですよね? ちょっと不安です。
数ある投資信託の中、本気で長期投資しているファンドは、ごくごくわずか。
澤上:もちろん、ファンドをしっかり選ぶ必要があるよ。個人が株式投資をする際には、どんな社会になって欲しいかを考え、将来も活躍して欲しい会社を選び抜くことが重要。ファンド選びもそれと同じように、投資先を吟味しているものがいい。短期的なリターンを狙っていくより、安定感があって、長期でゆったりリターンを得ていこう、というスタンスで運用されている投信を選ぶべきだ。どんなことを考えて運用しているかを打ち出しており、投資家がそれに納得できる投信としか、付き合うべきではないよ。
F山:たしかに、今ならこれ、次はあれ、という感じで運用されている投信では、安心して任せられないですね。でも……、やっぱり怖いな。毎月積み立てていく中で値上がりしたり、下がったりしますよね。もしある程度値上がりしたような場合は、売ったほうがいいのでしょうか。
澤上:本気で長期投資をする投信なら、株が十分に上がったと思える段階で株を売って利益確定し、次に買いのチャンスがくるまで現金の割合を増やす、という作業を運用会社の方でする。手前味噌になるけれど、我々が運用する「さわかみファンド」は、サブプライム問題が起きる前に資産の3割程度をキャッシュにしていたよ。株式からキャッシュにシフトすることも、運用する側の大事な投資判断だからね。
F山:そういう投信をどうやって選べばいいのでしょう。
澤上:そういう運用をしているファンドは、現状では、ごくごくわずか。だからF山さん自身で、十分上がったと思ったり、怖いと感じたら、売ってもいいと思う。毎月3万円を全額、投信に回すのではなく、貯蓄と並行する、という考え方もあるだろうね。どんな使い方をするかは、F山さんの自由なのだから。
目先の教育費だけでなく、夫婦の老後、将来子どもが住む社会のために……。今から投資の経験を積むことは、家族にとって大きな武器になる!?