The most powerful force in the universe is compound interest.
宇宙でもっとも偉大な力それは…複利の効果だ
The most powerful force in the universe is compound interest. 「宇宙でもっとも偉大な力それは…複利の効果だ」
壮大なスケールでお届けする今回の本文はアインシュタイン氏が言ったとされるセリフ。「相対性理論」の発見やノーベル賞の受賞など、20世紀を代表する天才科学者も驚く偉大な力を、“The most powerful force”という表現で表しています。中学英語で出てくるような例文で、分かりやすいし懐かしい。ただ、その答は「複利の効果」という地味なものなので、ちょっと肩すかしをくらったような気もするかもしれませんね。そう言えば、アインシュタインさんと言えば、「あっかんべー」してる写真が印象的で、茶目っ気たっぷりな人だったのでしょう…と思ってしまうかもしれませんが、実は今回の本文にはもう少し別の意味が込められています。ヒントは、“in the universe” 「宇宙で」とつづくパートにあって、これと関連する単語の“universal” (ユニバーサル)なんて思いつく人は、英語もマネーも実力アップしていけること間違いなし。さあ、その秘密をチェックしちゃいましょう。
「複利の効果」というのは、たとえば100万円が毎年10%づつ増えると、110万円、121万円、133万円…とカーブを描いて増えていくというもので、雪だるまを作る時をイメージすると分かりやすいですね。最初は小さい雪のボールですから、いくら転がしても周りにくっついてくる雪も少量。ところが、何回か転がしていくうちに雪のボール自体が大きくなってくるので、周りにくっつく雪も多くなって、気づけば巨大な雪だるまが出来ています。ちなみに、この連載でも何回か取り上げてるバフェット氏の自伝が「スノーボール」(雪だるま)というタイトルになっているのはけっして偶然ではありません。 そして、我々にとって大事なのは、この複利の効果は絶対にハズレがないことで、この連載のバックボーンとなる「経済ダイヤモンドモデル」との比較で考えると分かりやすいでしょう。というのは、ジョージ・ソロス氏が予言したように、経済ダイヤモンドモデルは振り子のように揺れるものであり、今後どちらに振れるかは未知数です。もちろん、未知数であるが故にその先を見通せる目端の利く投資家は大もうけできるのですが、そこまでのスキルがない我々が頼るべきはむしろ、複利の効果。「100万円が毎年10%増えれば…」という例のように、投資を始めたら儲けた分を使わずにかならず再投資に回すことによって、資産の急上昇を狙っていけるこのルールは、どんな経済情勢でも変わることはないので安心して頼れます。それこそ、世界中のどこの国でも通用する…
いや、世界中どころか、宇宙中どこに行ってもこれは真理だよ、と言うのが、アインシュタインさんが言いたかったことなのかもしれません。“The most powerful force in the UNIVERSE”、ですからね。そして、実は英語の表現面からもこれは読みとれて、“universe”の関連語“universal” (ユニバーサル)は、「いつでも、どこでも、だれでも」という意味を持つのです。ほら、「ユニバーサル・デザイン」なんて言葉、聞いたことないですか?子供からお年寄りや、はたまた障害がある人まで、「だれでも」使えるように工夫されているので、こう呼ぶのです。
なので、アインシュタインさんも、スケールの大きい話で驚かそうと言うよりも、どうせ投資をするのなら、「いつでも、どこでも、誰でも」できる複利の効果に頼った手法にしよう、という想いをセリフに込めたのかもしれません。
今回は経済ダイヤモンドモデルを離れて、複利の効果という普遍的な投資のコンセプトを紹介しました。そして、もうスルドイ人なら気づいていると思いますが、この複利の効果を十分に効かせるためには、ある前提条件が必要になります。次回は、ジム・ロジャーズ氏の言葉を引いて、この前提条件を解説しちゃいます。題して、「時をかける投資法」