Our favorite holding period is forever.
私たちが好ましいと思っている株式保有期間は、「永遠」です。
Our favorite holding period is forever. 「私たちが好ましいと思っている株式保有期間は、「永遠」」
著名投資家ウォーレン・バフェット氏のお言葉から今回押さえておきたいのは、その表現の極端さ。だって、株を「永遠」に持つことが一番だ、なんて言ってるわけですから、普通では考えられません。もちろん、このような極端な表現を使ったのはバフェット氏なりの思惑があって、短期で株を売買して結局は損をしている人があまりにも多いので、それを戒めているのでしょう。ちなみに、訳文中の「保有期間」は英語で言うと“holding period”。この“holding”ってどこかで聞いたことないですか?そう、バフェット氏の投資手法の代名詞となっている「バイ・アンド・ホールド(買ったらずっと持っておく)」でも“buy and hold”と使われています。
でも、「永遠」はともかくとして、本当に長期的に持つことが儲けにつながるのでしょうか?
この謎を解くカギは二つあります。一つは、バフェット氏が徹底的に企業研究した上で株を買うこと。株式投資の成功の秘訣を聞かれて、“we read hundreds and hundreds of annual reports every year”、「何百もの企業の年次報告書<アニュアル・レポート>を毎年読むんだ」と答えたのは有名な話。つまり、徹底的に厳選すれば、長期的には株価が上がる企業が見つかるだろうと言う考え方で、とても分かりやすいですね。
でも、投資で大成功を収められるのはそれだけではないはずで…実はもう一つのカギは、「人間の欲望」にあるとにらみました。というのは、バフェット氏が投資をするのは人間の基本的な欲望を満たすビジネスを行っている会社が多いのです。コカコーラやP&G、そしてナビスコのクッキーで知られるクラフト・フーズなど…。たしかに、食欲や快適に暮らしたいという人間の欲求ならば、未来永劫変わることはないわけで、株価も地味ではあるけど継続的に伸びていきそうです。
そして、実はこの人間の欲求にドライブされた成長というのは、この連載のバックボーンとなる考え方、経済ダイヤモンドモデルにも隠されているのです。一見するときれいにまとめられた四角形ですが、その背後には、
企業活動が活発になると株価が上がる→原材料などが不足しがちで物価が上がる→上がった物価を抑えるために金利を上げる→他の国に対して通貨が上がる(たとえば、円高)→海外から安い原材料を調達して企業活動がさらに活発になる…
というように、ダイナミックな経済の動きがあるのです。
この動きも「より良い生活をしたい」という人間の欲求がある限り不滅のはずで、バフェット氏がこんなにも勝ち続けられる要因は、これを念頭に置いた上で個別の企業を選んでいることにあるのではないかと想像します。
今回は経済ダイヤモンドモデル全体を見ましたが、これを静的<スタティック>なものではなく、個々の要素が互いに連繋しながら経済成長につながるという動的<ダイナミック>なモデルと考えると、経済を見る目がグッと深まりますね。