ペーパーナイフは大人の必需品
TALES OF A CENTURY「paper made paper
knife」
価格3,990円(税込) |
子供の頃、家に、ハサミとセットになったゴージャスなペーパーナイフがあって、何だかカッコよかったのだけど、封書を開封するための道具だと聞かされて「なんだかなあ」と思っていました。それだけの道具なのに、何故、こんなに大仰なのかと思ったのです。当時は、フランス装の書籍の存在も知らず、本来、それが「本を読むための道具」だったということは、親も説明してくれなかったのです。
子供だった私は、封筒くらい、手で開けられるじゃないか、と思ったのですが、大人になるにつれ、考えは変わってきました。変わったというより、大人には意外に多くの封書が送られて来るのですね。それらの封筒を手で開けていると、かなり面倒だし、開封した後の封筒の見た目がとても悪いのです。封筒のまま保存することも多いというのに、開け口がボロボロでは大事な手紙の価値まで下がったような気がしてしまうのです。
ということで、ペーパーナイフが手の届く所にあれば、素早く、スマートに、キレイに封筒を開けることが出来ます。ハサミでも良いのですが、余分なごみを出さず、内容物を傷つけることなく開封できる専用ツールとしてのペーパーナイフには敵いません。そんな、大人の道具としてのペーパーナイフから、選ぶならコレではないかと、ガイド納富が推薦するのが、今回取り上げた「paper made paper knife」です。
ナイフなのに温かく優しいという矛盾の魅力
7.8×3.5×0.4cm、25gの紙製ペーパーナイフ
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ガイド納富は、長い間、ペーパーナイフの代わりに、ヴィクトリノックスの「ミニチャンプ」という小さなナイフを使っていました(これはこれで名作です)。あまり大袈裟なナイフは使いたくなかったし、小さいものであれば、刃物であるという威圧感もなく、子供が居る家庭でも安心だと思ったのです。しかし、それでも刃物は刃物、指を切ったりしたこともあります。
しかし、この「paper made paper knife」は、紙で出来ていますから、刃先が指に当たってしまっても指が切れるということはありません。ほとんど「紙しか切ることが出来ないナイフ」なのです。それでいて、ペーパーナイフとしての機能は十分。少し大振りでしっくりと手に納まるシェイプは、封筒の開封はもちろん、フランス装の本のページを開いていく作業も快適に行うことが出来ました。
このペーパーナイフで封筒を開封していたら、それを見た8才の息子が「ナイフなのに怖くなくていいね」と言いました。こんなナイフなら使ってみたいと言って、封の切り方を教えてくれと言うのです。「紙で出来てるんだよ」と言って、断面の貼合せ部分を見せたら、「本当に紙で出来てるんだ」と驚いて、でも、表面を何度も撫でていました。
実際に手に持ってもらえると、よく分かるのですが、このペーパーナイフは、金属やプラスチックにはない温もりがあって、しっくりと手に馴染みます。中央が膨らんだ形状は、使用中に刃の方に指が滑らないようにするためのデザインで、同時に、紙の元である植物の葉を表現しているのだそうです。そのシンプルなルックスも、大人のツールの資格を備えていると言えそうです。
新潟が誇る紙素材「Vulcanized Fiber」
このペーパーナイフに使われているのは、「Vulcanized Fiber」という高純度のパルプ繊維原紙を積層し、一体処理することで生まれる硬質繊維ボードです。このファイバーは、明治40年から新潟県長岡市で製造されているのだそうです。このナイフは、そんな「Vulcanized Fiber」を使った新しい展開を模索する中で生まれたということですが、正に世界初の「紙で紙を切る」名前通りの「ペーパーナイフ」となったのには、デザイナーの安次富隆氏のアイディアがあったということです。
紙を切るのに丁度いい切れ味で扱いやすい
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色は黒の他、ナチュラルな感じの白もある
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紙の手触りを残しながらも、とても硬く、衝撃や摩擦にも強い素材で、耐久性も高い「Vulcanized Fiber」は、しかし、それでも紙であることに変わりはありません。金属のように錆びることもなく、静電気を帯びることもなく、軽く、安全で、廃棄の際には普通に燃えるゴミとして出せるし、環境汚染もありません。でもナイフなのです。確かに世界初だなあと思います。
ガイド納富の「こだわりチェック」
封筒をイメージしたパッケージ入りでギフトにも使える
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ペーパーナイフは、持っていた方がいいです。しかも、ガイド納富が考えるペーパーナイフ選択ポイント七箇条があって、
1.ある程度大きさがあること(小さなペーパーナイフは使いにくいです)
2.紙だけがキレイに切れること(過ぎた切れ味は不要です)
3.デザインが優れていること(すっきりした機能美が最高)
4.持ちやすいこと(道具の基本ですね)
5.変質しないこと(日常使う道具ですから)
6.メインテナンスが簡単なこと(やはり日常使いの道具ですから)
7.存在を主張し過ぎないこと(これも良い道具の基本です)
この全部を、見事にクリアしているのは、この「paper made paper knife」が初めてなのです。特に、切れ味が鈍ってきたら、目の細かい紙やすりで刃先を研ぐことが出来るメインテナンスの簡単さが魅力です。そして、リビングにも書斎にも合う控えめなデザインの美しさ(ドイツのと、実際に使った時の快適な使い心地など、「紙で出来たペーパーナイフ」というだけでない、良く出来た道具だと思いました。
現在、このペーパーナイフは、アシストオンでしか手に入りませんが、アシストオンでは通販も行われていますので、是非、買ってみて、手に取ってみてください。きちんとしたペーパーナイフを持とうと思うのなら、これはもう決定版に近い製品だと思います。
<関連リンク>
・アシストオンの「paper
made paper knife」解説・購入ページ
・アシストオンのトップページはこちら
・このナイフをデザインしたデザイナー安次富隆氏のサイト
・このナイフは(財)にいがた産業創造機構(NICO)のプロジェクトです