まずCクラスのセダンと比べてみると、その乗り味は確実に異なっている。もちろんこのサイトで取り上げているくらいだから、当然「スポーツ」の要素が増しているのだ。
走り出すと、スグに感じるのはステアリング・フィールが実に頼もしくなっていること。もともとCクラスはそのステアリング・フィールが実に素晴らしいわけだが、このCLKのそれはさらに一枚上手。操舵していくと、確かな手応え感や重み、路面情報、タイヤの情報などを確実に伝え、かつセダンよりもダイレクト感に溢れたものとなっている。これはステアリング・シャフトの軸受けの部分を、セダンとは異なる硬度の高いものに変更していることも影響しているのだろう。
さらにタイヤサイズも異なるので、余計にスポーティな感触が引き立っているのだ。さらにCLKの場合はセダンに比べてフロントのサスが3%ほど固められており、コンフォートよりもスポーティな方向に味付けられている(といってもコンフォート性能もたいしたもの)。
こうした事柄が相乗効果を発揮して、まずは「一握り」で、セダンとは違う世界を発見することができるのだ。
そして何と言っても特徴的なのが、サイドウインドーを開けたときの開放感の高さ。今回のモデルからBピラーがなくなったことで、前後のサイドウインドーを下げた時には、相当に大きな開口面積を持っている。だからあえて風を受けて走る、というのも悪くない。最近では安全性やボディ剛性確保の理由からピラーレスハードトップがほとんど存在しなくなっただけに貴重でもあるし、さらに昔味わったあの開放感を再び感じる「懐かしさ」もある。というわけで、Bピラーがないだけで、走りの印象も大分違ったものになる。セダンの場合は当然Bピラーがあるから、やはり生真面目な感じがあるけれど、このCLKの場合はそれがなく、むしろ「ゆとり」のようなものを感じさせてくれる。