NYで発信される東京ファッションのイベントTOKYO FASHION FORWARDがジャパンソサエティにて開催。雑誌ELLEのファッションニュースディレクター、アン・スローイーを司会に、デザイナーの津村耕佑、大矢寛朗を迎えた講演、続いて両氏の作品のショーを含めたパーティが開かれ、大勢のニューヨーカーが集った。
会場にディスプレイされたFINAL HOMEのインスタレーション。新聞紙を詰めたコートが天井から吊り下げられた。
講演会はまずスクリーンにFINAL HOMEのコレクションを映し、津村氏からスタート。まさに“着るシェルター”ともいえる全身についたポケットに新聞紙を詰めて防寒具となるコートや、在庫の生地をテープ状に裂き、それを編むことによって出来上がったリサイクルの服など、ブランドのコンセプトを象徴するような作品の説明がデザイナー本人からされた。また、アーティストの草間彌生やコカコーラ社など、他分野とのコラボレーションも積極的にしているという。
グラフィックアートを映した画面を前にプレイするDJ。衣装はFINAL HOME。
一方、大矢氏は“図書館にある蔵書のように永遠に残る服”というコンセプトのもと2002年春夏のOH!YA?では“本の形になる服”のコレクションを提案。「いずれは自分の作品の図書館も作りたい」と語った。また、手塚治虫の鉄腕アトムをモチーフにして彼が手がける別のレーベル、ASTRO BOY BY OHYAに関しては「SONYのロボット犬アイボの登場など、今、世界は鉄腕アトムで描かれた世界に近づいている。ロボットと人間の共存、そしてそこから世界平和を考えるという手塚氏の目指したものを自分はファッションを通して実現したい。日本の文化といえるアニメーションをファッションのレベルに昇華させたものである」とした。
2002年春夏OH!YA?のコレクション。鳥をテーマにした作品。背中に羽根がついている服も。
また、興味深かったのは両者の顧客層がそれぞれ3パターンあるという話。津村氏のFINAL HOMEの顧客は、1、ファッションに興味がある人、2、“シェルター”としての機能性を追求した服のとらえ方をする建築に興味がある人、3、ファッションとアートの中間地点として服をとらえる人。また、大矢氏の顧客は、1、服そのものをかわいいと思って買う人、2、35~50歳の鉄腕アトムのTVをリアルタイムで見ていた人、3、買っても着ることなく保管しているコレクター、と多彩。大矢氏曰く、「このように多様な顧客のあり方こそが東京を象徴しているのでは?」とのことだ。
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