東京の景観を象徴する建物
人は高いところに登ると、まず方角や位置を把握したがる傾向があるようだ。タワーマンションの内覧では、たいてい窓際に立って目印を探し、自分の居場所を俯瞰的にとらえたうえでじっくりと眺望を堪能する、そんな習性のあることに気付く。ではそのような場面で、一等目につく建物は何か。地震が多い日本のビルは、たいていが箱型で個性的とは言い難い。アイコンの役割を果たす建物は限られているのだ。東京タワー、六本木ヒルズ、愛宕グリーンヒルズなどが一瞬でそれとわかる建物の代表である。
そして忘れてはならないのが、独特の存在感を放つ「元麻布ヒルズ」だ。内井昭蔵設計建築事務所が手掛けた建物は、竣工当時、木をモチーフにした未曾有の形状に世間の注目を集めた。高台の閑静な住宅街の真ん中に位置しているがために、どこからも目立つポジションであることも印象付ける大きな要因となった。
元麻布ヒルズ フォレストタワー(愛宕グリーンヒルズフォレストタワースカイデッキより撮影)
世界に通じる邸宅仕様
イタリアモダンファニチャーを源流とする「アルフレックスジャパン」社では、「元麻布ヒルズ」の竣工(2002年)と時期を同じくして、マンション顧客が急増しはじめたという。大型家具を扱う同社は、それまで一戸建てオーナーが中心だったが、以後、「六本木ヒルズ」(2003年)など邸宅感のあるマンションが次々と誕生したことで、納品先が一気に広がっていったのである。さて、今回、都心を代表する高級タワーマンション「元麻布ヒルズ フォレストタワー」の最上階ペントハウスを取材した。「六本木ヒルズレジデンス」とは、また一味違う高級感をお伝えしよう。
まずは、間取りから。次ページへ。