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フロスト警部のハードな日々

推理力とデタラメさを兼ね備えた迷警部フロストが帰ってきた。シリーズ第4弾『フロスト気質』は7年ぶりの邦訳となるファン待望の1作です。

執筆者:福井 健太

R・D・ウィングフィールドの略歴

『クリスマスのフロスト』
クリスマスを間近に控えたロンドン近郊の田舎町デントンで難事件が続発した。稀代のアンチヒーロー・フロスト警部の記念すべきデビュー作。
R・D・ウィングフィールドは1928年ロンドン生まれ。石油会社に勤務しながら作家を志し、1968年にBBCのラジオドラマで脚本家としてデビュー。1984年に発表した小説『クリスマスのフロスト』が絶賛を浴び、1987年には『フロスト日和』を上梓して専業作家となった。2007年に79歳で逝去したものの、長編6作と短編2作から成る〈フロスト警部〉シリーズは警察小説の名作として世界各国で愛読されている。『クリスマスのフロスト』が『週刊文春』(1994年傑作ミステリーベスト10)の第1位、『フロスト日和』が『このミステリーがすごい!』(1998年度版)の第1位、『夜のフロスト』が『週刊文春』(2001年傑作ミステリーベスト10)の第1位――という各種アンケートの結果からも、このシリーズが日本でも驚異的な人気を博していることは明らかなのである。

警察小説の最高峰
〈フロスト警部〉シリーズ

『フロスト日和』
婦女暴行魔が凶行を繰り返し、公衆便所には男の死体が転がり、おまけに轢き逃げまで発生した。フロストは全ての事件を解決に導けるのか?
人気の理由はいくつも考えられるが、やはり最大の"それ"はフロストの愛すべきパーソナリティに違いない。大胆不敵にして傍若無人、仕事中毒にして品性下劣な中年男――そんな名物警部ジャック・フロストが、ロンドン郊外の田舎町デントンで多彩な事件を解決する(あるいは混乱させる)騒動の顛末には、ウィットに富んだユーモアミステリーとしての魅力も備わっている。複数の事件を同時に捜査していく"モジュラー形式"は警察小説の王道パターンだが、本シリーズでもそのスタイルが踏襲されている。たとえば『クリスマスのフロスト』のフロストは行方不明者と銀行強盗を探すうちに新たな事件を掘り起こすが、ここでは多彩な事件を通じて謎解きとハードボイルドの面白さが両立されているのだ。

次のページでは『フロスト気質』を御紹介します。
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