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退職を考えるきっかけと転職のために準備すべきことは

働くことは大切です。しかし、自分がダメになるような職場で無理して働くことはありません。こんな会社は早く辞めたほうがあなたのため!またその事前対策を考えます!

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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転職が遅いほどあなたのマネープランは損をする!

追い詰められているアナタ!我慢して耐え続ける以外にも解決方法があります!
さて、今回のテーマは「こんなときは、即、退職!」という話題です。読売ウイークリーという雑誌がありますが、先日の特集を読んでいたら、いかに若者がひどい状態で働かされているか、というお話が紹介されていました。あまりにも耐えられず、自殺してしまった方の事例なども紹介されており、身につまされるものでした。

そこで、今回は「こんな会社なら、あなたは辞めていいんだ!」という背中を後押しするような記事を書いてみようと思うのです。というのは、マジメな人ほど「私はもっとがんばらなくちゃ!」とか「もっとガマンしなくちゃ」と言い聞かせるあまり、追いつめられてしまうからです。

私個人の例を先に述べますと、2つの会社に勤めてそれぞれ理由があって転職を決意しました。今になってみれば、それぞれの会社で学んだことは今の自分にプラスになっていることは強く感じますし、その点では当時の会社に感謝しています。でも、それはそれとして、やはり当時がんばって働きすぎてしまったため、かなりしんどい状態まで自分を追い込んでしまったなあとは思います。当然、体調にも悪影響が出ますし、周囲にもいろいろ迷惑をかけてしまったりします。

煮詰まっていたそのとき、一人で抱え込んでいても仕方ありません。誰かに相談することで、「ああ、転職という方法もあるのか」と決断できた部分も大きいと感じています。それは両親や家族であったり、友人であったり、お世話になっている方であったりしますが、やはり誰かに背中を押してもらったり、同意してもらえることはとても助けになるのです。

また、「もっと早く辞めておけばよかった」というのはマネープランにおいても大きなデメリットです。仮に年収がアップする転職を実現できれば、早く転職していればその分もっと稼ぐことができたわけですから、判断を遅くするほど損をします。仮に収入が変わらなくてもストレスが減ったり健康状態が改善する転職なら医療費等の分、あなたの家計が改善するかもしれません。

私のコラムを読むことが、今仕事でしんどい状態にある人にどれだけ助けになるかは分かりませんが、「こんな状態で働くなら転職すべき」と「いつでも辞められるために何を準備すべきか」について考えてみたいと思います。

こんな状態で働くなら転職すべき!

それではまず、どういう状態ならためらわず辞めるべきか、について考えてみたいと思います。以前、「『3つの不満』で転職を考える!」というコラムを書いたことがありますが、仕事を辞めるにあたっては、今の仕事について「職場環境(人間関係や労働環境)」「給料等の待遇」「仕事の内容」の3つの要素で採点をしてみることをお薦めします。2つ×がついたら退職を考えるべきです。

  • 「職場環境(人間関係や労働環境)」
職場は、自分の生活時間の一番多くを過ごす場所です。仮に毎日18時間起きていて、通勤も含めて会社に10時間以上過ごしているのであれば、平日の半分以上は仕事のために使っているということになります。完全週休二日制で土日が休めたとしても生活時間の4割は会社のために使っていることになります。職場での環境はあなたの生活の半分に影響していると考えたほうがいいでしょう。

人間関係ではセクハラ、パワハラ、職場いじめ……。いろいろな呼び方はありますが、「理由のないいやがらせ」を感じる職場に無理に居続ける必要はありません。戦ってみても改善の見込みがないようでしたら、ガマンする必要はありません。すぐ、辞めましょう!また、労働基準法に照らし合わせても劣悪な労働条件になっている場合もとにかく辞めましょう。

残業を含めると一日12時間以上働かないと成立しないような職場は何かが間違っています。もちろん、年に数カ月程度忙しい時期があって、それ以外の時期は余裕があるとか、毎月一週間は忙しくてその後はヒマになるとか、メリハリがあるのであれば、なんとかやっていけると思いますが、常に忙しすぎるのは問題です。残業代がきちんともらえたとしても、あなたの体がもたないはずです。

  • 「給料等の待遇」
先ほど残業代の話をしましたが、残業代だけでなく、あなたの年収はあなたの労働時間やあなたの能力に見合ったものがもらえているでしょうか。ここはじっくり考えてみるべきポイントです。もし、労働時間とあなたの能力に見合った待遇が得られない場合は、早めに転職を考えておくべきです。特に生活上の困窮やストレスがないのなら、働きながらコツコツ転職活動などしてみてもいいでしょう。

また、有給休暇等の福利厚生が事実上利用できない会社も「?」と考えておいたほうがいいでしょう。有給を取ると評価が事実上マイナスになるような会社もちょっとおかしいと思います。

ちなみに自分の能力や職種と年収のバランスが取れているかどうかは、転職情報サービスで一度調べてみるのが便利です。ほとんどの場合無料ですから利用してみるといいでしょう。

  • 「仕事の内容」
最後のポイントは仕事の内容です。もっと成長していきたいと考えているのに同じ仕事だけをやらされているとか、仕事の内容が自分に合っておらず苦痛なのに異動を申し出ても受け入れられないなどという場合は、無理をせずに転職を考えてみる価値があります。

難しいのは、年収は平均以上だけど仕事はつまらない場合ですが、これは「自分はラッキーだ」と割り切ってしまい、そのまま居座るのもいいと思います。もちろん仕事はつまらないし年収も低いのならためらうことはありません。転職にチャレンジすべきです。

20~30代の読者は、仕事の内容で転職を決断して、もっと自分の価値を高めていくチャンスがありますので、積極的にトライしてみてもいいでしょう。

いつでも辞められるために何を準備すべきか

次に考えてみたいのは「いつでも辞められる準備」です。
おそらく、自分が辞めてもいいような職場にいる人は、自分でも働きながらうすうす感じているのではないかと思います。もしそうだとしたら、「いつでも辞められる準備」をしておいて、本当に「辞めたい!」と思ったらいつでも辞められるようにしておいたほうがいいと思いませんか。

そこでぜひ、考えて欲しいのは2つの対策です。

  • 働きながら転職先を探してみる
もっとも望ましいのは、転職先を常に探しておくということです。強調しておきますが「働きながら次の仕事を探すのは悪いことではありません」。社長からしてみれば、悪いことかもしれませんが、労働者としては何も悪くありません。よりよい条件の職場で働くことはあなたの権利です。堂々と(でも会社には内緒に)転職活動をしてください。

日々の仕事が忙しいといっても、最近の転職エージェントは、土日に相談をすることもできますし、夜や週末に面接をセッティングしてくれる会社もあります。こうしたエージェントは上手に活用することをおすすめします。

また、働きながら転職先を探すことのメリットは、納得する会社をじっくり決められるということです。仕事がない状態で就職活動をするとどうしても、最初に内定が出た会社に入らざるをえなくなります。その分、働きながら次の仕事を探すことのほうが有利です。ぜひよい条件の会社を見つけてみてください。

  • 辞めて数カ月の暮らしに困らないだけ貯金しておく
とはいえ、働きながら次の仕事を探すのはそう簡単ではないという人もいるでしょう。あるいはいつ辞めるか分からない場合もあります。しかし、いきなり辞めてしまっては生活に困ってしまいます。そこで、考えておきたいのは急いで4カ月分の生活費を貯めておく、ということです。

なぜ4カ月かというと、自己都合で中途退職をした人が雇用保険の失業給付(求職者給付)を受けられるのは退職から約4カ月後(手続きから3カ月+7日で支給開始、第1回目の支給はその3週間後)だからです。仮に就職活動がそれ以上かかった場合は、雇用保険の助けを借りることができます。逆にいえば、自己都合で辞める場合は、それまでの4カ月をいかにやりくりするかがポイントになるわけです。

ここでいう4カ月は、「給料の4カ月分」ではなく「生活費の4カ月分」でいいのですから目標は少し低く設定できます。仮に毎週2万円の生活費で暮らし、家賃等の諸経費が12万円なら、1カ月の経費は20万円、4カ月なら80万円になります。もし毎週1万円、諸経費10万円で暮らしているなら3カ月で56万円、といった案配です。

今60万円程度の貯金がない人は、貯金は大変かもしれません。しかし、「いつでも辞めていいんだ」と思って働くのと「辞めたいけど辞めたら生活できないからガマン……」と思って働くのは大違いです。まだボーナスが残っている人は少し自分の未来のために残しておくことから始めてみましょう。

辞めさせてもらえないは間違い!「辞めるときは辞める!」

最後にもうひとつアドバイスをして、まとめに代えたいと思います。それは「辞められない」とか「辞めさせてもらえない」は間違いだということです。

辞めてもいい職場なのになかなか辞めない人に話を聞くと「自分が抜けたら業務が大変なことになるから辞められない」とか「社長が辞めさせてくれない」という理由をよく聞きます。これはどちらも間違いです。

まず、「自分が抜けたら大変なことになるから辞められない」というのは、まったくあなたが気にすべきことではありません。それは経営者が考えるべきことであってあなたが心配することではないのです。お客様に対して責任を負っているのは経営者です。

もし、あなたに本当にいて欲しいと会社が考えるのなら、職場環境や給料をもっと良くしてくれるはずです。そうでない会社に義理立てする必要はありません。また、あなたがいなくても、会社はちゃんとやりくりして仕事をこなしていくものです(ちょっとプライドがくじかれますが)。

また、「社長が辞めさせてくれない」というのもおかしな話です。辞めるのはあなたの権利であって、あなたが労働者である限り経営者がそれを拒否することはできません。頼まれればついつい情に流されてしまいがちですが、経営者は「あなたが辞めないほうがラクだから引き留める」と思ったほうがいいでしょう。

仕事に穴が空こうが、損害が生じようが、正式なやり方で辞めたのであれば文句を言われる筋合いはありません。それは会社の責任だからです。もし怒鳴られて退職を拒否されたのでしたら、都道府県の労働局や労働基準監督署に電話してみるといいでしょう。

退職届を提出しなければいけない時期を就業規則に書いている場合もあり、これは事前に確認しておきましょう。なお、法律上最低必要なのは2週間前までの意思表示です(民法第627条第1項)。つまり、最低でも2週間以上前に退職の意志を明確にし、必要とされる引き継ぎ業務を行っていればそれ以降の業務の責任を負うことはありません。

また、退職日までの給料をもらう権利もあります(有給休暇も使い切りたいのなら、円満な退職を目指したほうがいいですが、せいぜい給料1カ月分くらいの差ですので無理をしなくてもいいでしょう)。とはいえ、実際には1~2カ月を考えたほうが無難でしょう。

ちなみに私も2回ほど転職をしていますが、転職後も以前勤めていた会社はつつがなく事業を続けています。私がいなくなった部分は他の社員が補ったり、新しい社員が入社したりしてやりくりをしたようです。「私が辞めたら会社に支障が出るのでは」と思ったこともありますが、意外にそういうものなのです。

世の中にはいろいろな職場があります。イヤな会社やダメな会社で働きがいを考えるくらいなら、他の会社(できれば今の会社よりマトモな会社)に移って働きがいを充実させるほうがいいのではないでしょうか?せっかく景気も回復して、雇用環境もいい状態にありますから、今はチャンスです。

「こんな会社はダメだ!」とあなたの中で何かが爆発したら、無理せず次の会社を探してみてください。できれば早く気づいて密かに転職活動をして、次を決めてからのほうがいいですが、体調を崩すことより、あなたの身体のほうが大切です。

たぶん、転職先の会社は、今の会社と違った魅力をもって、あなたの職場になると思いますよ。

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