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「お金は銀行に預けるな」なんてウソだ!?(3ページ目)

最近「お金は銀行に預けるな」という本が売れているようです。しかし、お金を銀行に預けることの意味もまたあるのです。今回はあえて挑戦的に「お金を銀行に預けることの意味」を説明してみます。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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その2:貯金をすると運用のリスクを抑えられる

私は投資信託や株式などのリスク資産を持って、資産運用を行っていくことを否定はしません。むしろ、強くお薦めしています。しかし、資産運用をする際に「貯金の効能」について意識している人はあまりいないようです。

貯金を手元に保有しておくことは、資産運用においてリスクをマネジメントする際にとても役立ちます。というのは、手元に貯金を残すことそのものが、資産全体としてリスクを抑える効果につながってくるからです。

金利が低いからと貯金を軽視し、資産のほとんど全額を投資につぎ込む人がいます。個別株式でもFXでもかまいません。マルチ商法にはまる人も財産を全額つっこんでしまいます。実は「全額つっこむ」ことそのものがリスクを高めている要因の一つなのです。

確かに、高い金利や高いリターンの可能性に欲を出したくなる気持ちはよく分かります。うまくいけば全額を投下した効果は絶大です。しかし、高いリターンに必ずついて回るのは、高いリスクです。場合によっては資産をすべて失う可能性もあります(特にマルチ商法などは回収はほとんど不可能でしょう)。

しかし、仮に「資産を半分だけつっこむ」選択をしていればどうでしょうか。仮にすべてを失っても資産全体では半分の損失ですみます。当たり前の話ですが、当たり前を見失ってしまうのが相場の魔力です。

たとえば500万円もって、全額でFXをやって、10倍の取引をしたとします。そうなると5000万円分の外貨を買えることになるわけですが、昨今のように1ドルあたりのレートが110円から100円まで動くと、それだけでほぼ500万円はなくなります。つまり100%の損失ということです。

ところが、250万円を貯金で残して、250万円でFXをしたらどうでしょう。仮に全額を失っても、まだ250万円が残りますから、全体では50%の損失ですみます。苦い経験から学び、再チャレンジをすることも可能です。

つまり、貯金を保有し、残しつつ、リスク資産の運用にチャレンジすることそのものが、全体のリスクを抑制する大きな手段なのです。仮にリスク資産が元本割れした場合の、資産全体の損失割合を貯金の保有比率で整理すると以下のとおりです。(貯金の利息は加味せず)貯金を残しておくことの意義は、資産運用にチャレンジするにおいても、また大きいのです。

貯金とリスク資産の比率 リスク資産が全損 リスク資産が?50%
    75:25     ?25%       ?12.5%
    50:50     ?50%       ?25.0%
    25:75     ?75%       ?37.5%
    0:100     ?100%       ?50.0%

→貯金を多く持てばリスクを高く取るチャレンジができる?次ページへ

はじめに貯金はスタートライン|貯金を残してリスクを下げる|貯金を多くしてリスクを加減貯金は自分のためまとめ
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