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ひこにゃんのモデル 豪徳寺の招福猫児

招き猫シリーズ第2弾は、世田谷区豪徳寺の招福猫児(まねぎねこ)。実はこのネコ、今大人気のキャラクター「ひこにゃん」のモデルでもあるんです。

執筆者:妹尾 みえ

豪徳寺の猫は大きな瞳が印象的だ

豪徳寺の招福猫児に会いに行く


以前、招き猫発祥の地として、浅草今戸神社の招き猫をご紹介したが(「良縁を呼ぶ招き猫 浅草・今戸神社」)、それがどこなのか、実は説はひとつではない。

新宿の自性院であるとか、豊島区の西方寺、あるいは、まったくの民間信仰から生まれたなど諸説ある。そしてそのうちの一つとしてよく知られているのが、ここ世田谷区、豪徳寺である。

ここ豪徳寺では、「 招福猫児(まねぎねこ)」と呼ばれるこの幸福のネコとのエピソードは、一説には江戸時代初期にさかのぼる。

大谿山(だいけいざん)豪徳寺。曹洞宗。世田谷城主、吉良政忠が、文明12年(1480)に伯母の菩提のために建てた。古木が多く、晩秋にかけては広い境内に紅葉も美しい

彦根藩二代目藩主、井伊直孝が鷹狩りの帰りに、夕立に見舞われた。
雨宿り場所を探し困惑していると、 豪徳寺の前で寺の和尚さんが飼っていたネコ(タマという名前だったとされる)が、手招きするような仕草をしていた。
そこでお寺の門をくぐり、雨宿りしながら説法を聞いていると、轟音と共に稲光が。なんと、今しがた通った道に雷が落ちたのだった。

命拾いした直孝は感謝し、お寺の再建を約束。これが縁で、豪徳寺は井伊家の菩提寺となった。老中・井伊直弼のお墓がここ世田谷にあるのも、そういうご縁によるとされる。
また、死後に祭られたタマにちなんで、片手をあげた猫の像を造ったところ人気を呼んだのが、招福猫児のルーツとなったと伝えられる。

大きさもさまざま 想いもいろいろ

ずらりと並んだ大小の招き猫。どんな願いをかなえてきたのだろう

招福猫児は、境内の右奥にある招福殿と、山門横のお寺指定の花屋さん「山崎商店」で分けていただくことができる。

300円のミニサイズから特大(5000円)まで7種類。私は、招福殿で中くらいの招福猫児を分けていただいた。釣り銭のないようにとの表示があったので、1万円札などは前もって崩しておいたほうがよいだろう。

招福猫児を買った後、ぜひ寄ってほしいのが、参道の左手にある「招福観音堂」。その奥に招き猫の奉納所がある。この風景が圧巻!
ずらり並んだ大小の招き猫。向かい合ってたたずんでいると、そのひとつひとつにこめられた人々の想いが、束になって真っ直ぐ伝わってくるようだった。そして私も、招福猫児を大切にしようと、改めて心に誓った。

烏山川緑道の招き猫。もうすぐ豪徳寺ですよと教えてくれる

豪徳寺には、小田急線豪徳寺駅から商店街をぶらぶら歩いて10分程度だが、一番近いのは東急世田谷線の宮の坂駅。

この宮の坂駅前には、昔この街を走り、引退後は江ノ電としても活躍した深緑色の車輌が展示されている。車内にも入れるので、時間があればぜひ見学したい。
また、土俵があることで知られる世田谷八幡宮も近い。

天気がよければ、三軒茶屋方面から、烏山川緑道沿いに歩くのもよい散歩になる。国士舘大学を過ぎ、しばらくすると緑道沿いのあちこちに、招き猫のオブジェを見つけることができる。

 ●豪徳寺周辺の地図→Yahoo!地図情報

<ひこにゃん>のモデルは豪徳寺の猫

ところで「ひこにゃん」というキャラクターをご存知だろうか?
2007年11月25日まで滋賀県彦根市で行われている「国宝・彦根城築城400年祭」にちなんだ猫のイメージ・キャラクターの愛称なのだが、彦根といえば彦根藩。そう、このひこにゃんのモデル(?)は、豪徳寺で猫に救われた井伊直孝公なのだ。

遠く彦根と世田谷を結ぶ不思議なご縁・・・。
 ●国宝・彦根城築城400年祭公式サイト

でも彦根には行かれないなぁとため息をついている方に朗報!
11月9日(金)~20日(火)まで、渋谷パルコパート1の「ロゴスギャラリー」で、「-もへろんの世界-ひこねのよいにゃんこ展」が開かれる。
ひこにゃんはもちろん、作者のもへろんの描くほこっと暖かな世界に触れる絶好のチャンスだ。

 ●展覧会については→www.parco-art.com

 

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