小動物/その他のペットの飼い方

あるフクロモモンガの話 ペットとの絆

我が家のペットであったフクロモモンガの桃太。彼の記録をどこかに残したいためにこの記事は書きました。一人の飼い主と1匹のペットの絆の話です。

執筆者:村田 亜衣

最初は警戒心の固まりでした 1996年秋、我が家にフクロモモンガが来た。
数年前から興味を惹かれ、いろいろ調べていたときに知った里親募集中だった子である。
ちょっと大きめの鳥かごに入って養子入りしたこの子の名前は「桃太郎」といった。

前の飼い主さんが1年以上飼育していたということで、 すでに2歳近い年齢だったこともあり、 桃太の警戒心というのは強かった。
うちに来たその日はケージ内の巣箱から顔を見せることがなく、 夜中にごはんを食べる音が聞けただけ。
この状態が3日も続くと私は心配と不安に襲われるようになった。

当時、我が家には犬も猫もフェレットもおり、 それまで桃太だけだった家庭とでは臭いが大きく違う環境である。
「しなくていい」といくら言っても猫たちは桃太を一目見ようとケージに近寄る。
その度に桃太はギーギーと威嚇をする。
こんな環境だから、桃太は巣箱から出て来れないのではないだろうか?
うちに来ない方が桃太は幸せだったんじゃないだろうか?
そんなことばかり考えていたのだ。

けれども、それくらいでは私はくじけない。
フクロモモンガを飼っている人にメール相談し、仲良し大作戦を始めた。

ポーチから出ることなど無いかと思いもしました ▼長いようで短かった仲良し大作戦
桃太には悪いが、使い慣れた巣箱を外し、布で作ったポーチを巣としてケージにつける。
そして、夜帰宅して犬の散歩が終るとこのポーチをケージから外し、 首にかけてシャツの中へ。
ポーチごしでも触れば威嚇していた桃太。
さぞや不愉快だったんだと思う。
でも、こうすることでイヤでも私の臭いが嗅げるから、馴れやすくなるはずなのだ。

時々、好奇心に負けてポーチを覗いたことがある。
その度に威嚇され、仲良くなんかなれないんじゃないかと落ち込んだ。
私の首にかけてあるおかげで、猫たちはちょっかいを出したくても出せないという利点はあったものの果たしてこんな方法で馴れてくれるのだろうか?
毎日が不安であった。

不安なまま仲良し大作戦を始めて3ヶ月がたったある日、 いつものように散歩から帰ってからポーチを首にかけたとき、思ってもいないことが起きた。
桃太がポーチから出て、私を登ってきたのである。
たぶん、このときは威嚇しない桃太を初めて見た時だったんだと思う。
大きなまん丸の目をした桃太は、まるでそれが普通のことのように私の身体にくっついていた。

このまま仲良くなれなくてもそれはそれでいいか。と、半分あきらめていたところもあったのでまさか桃太が自分に登ってくれるなどとは思ってもおらず、驚くとともに、盆と正月とクリスマスと誕生日と他に思いつくすべてのお祝いがいっぺんにきたような嬉しさがあった。

こうして仲良し大作戦がみごとに成功した私と桃太。
毎日が不安とあきらめでしたが、そんなことは問題ではなく思える生活がこれから始まったのです。

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