文章:カルカ 麻美(All About「ドイツ」旧ガイド)
山の中にそびえ立つ、おとぎ話に出てきそうな真っ白なお城「
ノイシュヴァンシュタイン城(Schloss Neuschwanstein) 」。ディズニーランドのシンデレラ城のモデルにもなったというこの美しいお城は、バイエルン王国の国王ルートヴィッヒ2世(1845~86年)によって建てられました。こんな夢のようなお城を造ったルートヴィッヒ2世って、一体どんな王様だったのでしょうか? ここでは行く前に知っておきたいお城にまつわる話、見学に関する役立つ情報をご紹介します。
ファンタジーの世界に生きたルートヴィッヒ2世
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| ルートヴィッヒ2世の若かりし頃 © Bayerische Schlösserverwaltung |
幼い頃から絵画や音楽を好んだルートヴィッヒ2世は、18歳という若さで、人生経験も政治経験もないまま国王の座につきます。18歳……彼はまだ若すぎました。プロイセンとの戦いに敗れて多額の賠償金を請求され、バイエルン王国は権威を失っていきます。芸術を心から愛し、中世の騎士伝説に強い憧れを抱いていた国王は、争いや政治という現実から逃避していき、次第に自分だけのファンタジーの世界に生きるようになります。昼間眠り夜に活動する、夜中に伝説人物の格好をしてそりに乗る、などという行動が、彼独自のファンタジー世界の一例でしょうか……。
現実逃避のための夢のお城
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| ロマンティックなノイシュヴァンシュタイン © Bayerische Schlösserverwaltung |
このファンタジーの傾向はどんどんエスカレートし、中世騎士道への憧れを具現化するために、また現実から逃避するために、ロマンティックなお城が造られました。それがノイシュヴァンシュタイン城です。ワーグナーの熱心なパトロンだったことでも知られるルートヴィッヒ2世。城内はワーグナーのオペラに出てくるモチーフを描いた壁絵でいっぱいです。また中世の伝説を再現した部屋や洞窟(かなり怪しげな雰囲気です。王はここでよくワイングラスを傾けていたそうですが……)など、とにかく豪華でこだわった作り。ビザンチン、ゴシック、ロマネスクなど様々な様式が用いられ、彼の憧れとファンタジーを徹底して追求した世界が広がります。
お城の中はびっくりするほどハイテクだった!
「中世」がテーマのノイシュヴァンシュタイン城。でもそれは見かけだけの話で、当時最新のテクニックが駆使され、かなり快適に生活できるよう作られていました。セントラルヒーティング、水道、お湯、水洗トイレ、電話、食事を運ぶためのエレベーターなどなど、19世紀の話とは思えないほど贅沢な装置満載です。ルートヴィッヒ2世、そんなに大金持ちだったのでしょうか??
王の終焉、お城は未完成のまま建設中止
ノイシュヴァンシュタイン以外にもお城をさらに2つ造らせ、しかもそんな豪華装置満載、こだわり抜いた内装で、お金が持つはずがありません。国家財政は圧迫、ルートヴィッヒ2世は精神病を宣告され、ベルク城に隔離されてしまいます。そしてその翌日、シュタルンベルク湖畔で、精神病の宣告をした医師と共に、水死体となって発見されたのでした……。王の謎の死と同時に、ノイシュヴァンシュタイン城の建設は未完成のままストップ。その既に7週間後にはお城は一般公開され、他人は決して立ち入ってはならなかったという、王の「自分だけの城」は、現在に至るまで5千万人以上が訪れています。
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お城への行き方、見学についてのご案内です。