盗電は犯罪です!
モバイルとはバッテリーとの戦い。いくら軽くて高性能なノートPCを持っていても、バッテリーが切れてしまえばただのガラクタだ。PDAだろうと携帯電話だろうと、電池が切れた機器には何の存在価値もない。
読者の方々も、「大事なときにノートPCのバッテリーが切れてしまった」「携帯電話の電池が切れて連絡が取れなくなってしまった」という経験はないだろうか。えてして重要なときに限ってこうしたトラブルに見舞われてしまうものだ。
途方にくれて入った喫茶店で、壁にコンセントを発見。「ラッキー! ここで充電しておけば安心!」……て、ちょっと待っていただきたい。無断で電源コンセントを使用するのはれっきとした犯罪なのだ。刑法第36章「窃盗及び強盗の罪」において、第245条で「この章の罪については、電気は、財物とみなす」とある。つまり電気は財物……つまり財産の一つであり、無断で使用すると窃盗罪が適用されることになる。
実際に摘発されたケースもある。愛知県では駅構内の掃除用電源を使用してPCを使い、窃盗容疑でサラリーマンが書類送検されたという。神奈川県でも、パン屋の外壁にある看板用コンセントを無断借用した大学生が、窃盗の疑いで取り調べを受けたとのことだ。
“被害総額”はどのくらいになるの?
下世話ながら、そこでちょっと気になるのが電気代だ。上で「ほんのちょっと」と書いたが、それはどのくらいなのか計算してみよう。
例えば筆者が持っているノートPCの場合、ACアダプターに70Wと書いてある。これが消費電力だ。フル充電に約2.5時間かかるので、その場合に要する消費電力量は70W×2.5h=175Wh=0.175KWh。電気代は1KWhあたり22円程度なので、空の状態から満タン状態まで充電しても約3.85円。つまり5円玉でお釣りがくる程度の金額ということになる。
現金100万円を盗んでも3.85円分の“電気”を盗んでも同じ「窃盗罪」に問われるというのは割が合わない(?)感じもする。だが「盗電」を辞書で引くと「正規の契約をしないで、ひそかに電気をつかうこと」(明鏡国語辞典より)とある。つまり送電線から勝手に自宅に電気を引いて使用するようなことだ。これなら誰でも犯罪として認識できるだろう。
金額の多寡はあれども、勝手に電源コンセントを使用することはこれと同じ。たとえ「ほんのちょっと」だとしても、犯罪が犯罪でなくなるわけではないのだ。もちろん“お目こぼし”してくれる場合もあるかもしれないが、勝手に電源コンセントを使用するのは絶対にNGだ。
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