世界遺産とは

更新日:2011年07月01日

危機遺産とは

人類全体の遺産として保護する必要がある世界遺産。特に緊急な保護が必要な世界遺産を掲載したのが「危機にさらされている世界遺産リスト」だ。このリストと危機遺産について解説する。危機遺産全リストつき!

危機遺産ってなんだ?

水害と塩害に苦しむペルーの危機遺産「チャンチャン遺跡地帯」 ©牧哲雄

ペルーの危機遺産「チャンチャン遺跡地帯」 ©牧哲雄

世界遺産条約は1960年代のユネスコによるインターナショナルキャンペーンが発展したものだ。ダム建設によって水没の危機にあったアブシンベルをはじめとするヌビア遺跡群を救済したり、1983年に10年越しで完結したボロブドゥールの修復がその一例だ。

世界遺産はそれぞれが人類にとって「顕著な普遍的価値」があるものとされ、保護が義務づけられている。すぐれた自然や文化財をリストに登録して終わりなのではなく、それを永遠に保護するための条約なのだ。そのために各国に保守・管理させるだけでなく、特に危機的な物件に対してはそれらを特別にリストアップして、世界が一致団結して緊急援助を行うよう定めている。

■世界遺産条約第11条(抜粋。ガイド訳)
世界遺産委員会は必要に応じ、世界遺産リスト記載の物件のうち、大規模な保存事業が必要で、本条約に基づいて援助が要請されているものを「危機にさらされている世界遺産リスト」として作成・公表する。

 

危機遺産リストの登録基準

危機遺産「エルサレム旧市街とその城壁」の岩のドーム。ユダヤ、キリスト、イスラムの3教の聖地エルサレムは領有国さえはっきりしない

危機遺産「エルサレム旧市街とその城壁」の岩のドーム

「世界遺産条約履行のための作業指針」では、下記登録基準に該当する世界遺産で、重大かつ明確な危険にさらされており、大規模な保全作業が必要で、援助が要請されているものについて、リストへの掲載を行うとしている。

<文化遺産の登録基準>
■確実な危険
(i) 材料の重大な劣化
(ii) 構造及び、または装飾の重大な劣化
(iii) 建築上・都市計画上の一貫性の重大な劣化
(iv) 都市・田園空間や自然環境の重大な劣化
(v) 歴史的真正性の重大な消失
(vi) 文化的意義の重大な消失

■潜在的な危険
(i) 保護の程度を弱くする資産の法的位置づけの変更
(ii) 保全に関する政策の欠如
(iii) 地域計画事業による脅威
(iv) 都市計画による影響
(v) 武力紛争の勃発又はおそれ
(vi) 地質学や気候など環境要因による漸進的な変化

<自然遺産の登録基準>
■確認な危険
(i) 絶滅危惧種や普遍的価値を有する生物種の重大な減少
(ii) 自然美または科学的価値の重大な低下
(iii) 完全性を脅かす資産境界などへの人間活動の侵食

■潜在的な危険
(i) 関係地域の法的保護状況の変更
(ii) 資産に影響を与える場所への移住・開発計画
(iii) 武力紛争の勃発または恐れ
(iv) 管理計画や管理体制の欠如、不備、不十分な執行
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この記事の担当ガイド

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長谷川 大

フリーの編集者・ライター。出版社で編集者として勤務したのち退職、世界一周の旅に出る。これまでの訪問国…

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