検証でやらなければならないこと
αリポ酸のような物質が本当にダイエットに効果があるということを”検証”という言葉を使って証明するならば、少なくとも盲検法(もうけんほう)という方法を使わなければ信用できるデータを得ることはできません。
煙に巻く方が悪いのか?巻かれる方が悪いのか…? |
盲検法とは、例えば今回のαリポ酸について10人で実験するならば、αリポ酸が含まれている錠剤とそれと形、色、味が全く同じαリポ酸が含まれていない錠剤(偽薬)を用意し、被験者達5人ずつにどちらを摂取しているのかを教えないで飲ませるやり方です(単盲検試験)。
そうすることで、例え全員痩せたとしても、その両者に差が出なければ、それはαリポ酸のおかげで痩せたのではなく、別の原因でやせたことが分かります。
想像してみてください。1週間後にあなたの体重の変化が全国放送で流されると分かっている時、あなたは今の体重のままでいようと思いますか?
さて、盲検法にはさらに厳しい(というかこちらの方が一般的な)二重盲検試験というものがあります。
それは、被験者だけではなく、実験に関わるスタッフにも、どちらの錠剤に目的の物質が入っているか教えないで実験する方法です。スタッフが答を知っていると、被験者は彼らの微妙な態度でどちらが本物かそれとなく気がつき結果に影響が出る可能性がありますし、スタッフによる結果の解釈に歪みがでることも考えられるからです。
もちろん、予算も、人員も限られた(そもそも娯楽)番組内で、このような正しい検証をやるべきだとはいいません。しかし、少なくともそれを観る側は、彼らの検証は(時に演出された)特殊な状況での体験談であり、自分にも同じ事が起るとは思わないことが大切です。
最期に、中年期によるαリポ酸の減少が、中年太りの主な原因だとする番組情報がなぜ歪んでいるのかの説明として「それならば、就職や結婚などのライフステージの変化で急に太ったり痩せたりする人がいることや、αリポ酸が十分ある10代や20代にも肥満者がいること、さらには30代40代でも痩せている人がいることを説明できない」という基本的な矛盾を指摘しておきます。
健康情報番組ではこれまでも様々なダイエットの救世主が登場してきましたが、αリポ酸はそれら八百万の救世主の新顔の一人でしかなく、ダイエットに関してはあまり直接的な効果に期待を寄せない方が良いことをお知らせいたします。
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