いくら時給がもらえたら幸せになれる? 具体的に考えてみました
人間は、お金が大好きです。お金があれば旅行に行けるし、美味しいものだって食べられます。だから、漠然と「もっとお金があればよいのに…」と、思い悩むことも多いものです。 しかし、社会心理学者のダニエル・ウェーグナーの研究(1)によると、「漠然とした悩みは実現しにくい!」「どうせ悩むんだったら、具体的に悩んだ方が目標を達成しやすい!」のだとか。だから、ぼくらも、漠然とお金が欲しいと悩むのではなく、「いくらあれば幸せになれるだろう?」と具体的に考えた方がよいでしょう。そこで今回は、「いったい、どれくらいの時給がもらえたら、ぼくらは一番幸せになれるのか?」について、さまざまな論文を組み合わせつつ考えていきます。
いちばん幸せになれる年収はいくら?
最近の心理学の世界は進歩が凄まじいものでして。「収入がいくらあれば、ぼくらはいちばん幸せになれるのか?」といった研究も進んでいます。たとえば、行動経済学者であるダニエル・カーネマンの研究(2)によると、アメリカに住む人は、年収7万5000ドル(約900万円)が最も幸福度が高かったのだとか。ただ、この研究は少しばかり古いのと、あくまで米国の調査結果なので、ぼくらには適応できないかもしれません。
そこで、2018年に新しい研究(3)が公開されたので、ご紹介します。これは、学術誌「Nature Human Behaviour」に掲載された論文です。この研究によると、東アジアにおいて、人生全体の満足度を高めるには、「年収1200万円あたりがベスト」なのだとか。
この研究結果を踏まえると、「とりあえずお金が欲しい!」と悩むより、「年収1200万円を実現するには、何をすればよいだろうか?」といったことを考えた方がよさそうですね。
いちばん幸せになれる労働時間は何時間?
いちばん幸せになれる年収が分かったので次は、いちばん幸せになれる労働時間について考えていきましょう。経済学者のサイモン・ルーチンガーの研究(4)によると、ベストな労働時間は、「1週間あたり33時間」なのだとか。感覚としては、「1日8時間労働を、週4日」というところですね。週に3日休まないと、幸福感が最大にならないというのが衝撃的ですね……。
まとめ:いちばん幸せになれる時給は「7000円」!
これまでの話をまとめると、- いちばん幸せになれる年収は1200万円
- いちばん幸せになれる労働時間は週33時間
いちばん幸せになれる時給
= 年収1200万円 / 週33時間労働
= 年収1200万円 / 年1716時間労働
= 7000円 / 1時間
……という感じで、いちばん幸せになれる時給は「7000円」だった!という結果になりました。ぼくらは、これくらいの生産性を目指して頑張るとよいってことでしょうね。
ただし、普通に働いていてこれだけの給料を稼ぐとなると、けっこう大変です。だから、一部はインデックス投資などを実践して、不労所得に頼った方が効果的なんでしょうね。
【関連記事をチェック!】 【参考文献】
- 論文:Robin R. Vallacher, Daniel M. Wegner, 1987, "What Do People Think They're Doing? Action Identification and Human Behavior", Psychological Review, 94(1), pp. 3-15
- 論文:Daniel Kahneman and Angus Deaton, 2010, “High income improves evaluation of life but not emotional well-being”, Proceedings of the National Academy of Sciences, 107(38), pp. 16489-16493
- 論文:Andrew T. Jebb, Louis Tay, Ed Diener, and Shigehiro Oishi, 2018, "Happiness, income satiation and turning points around the world", Nature Human Behaviour, Vol. 2, January 2018, pp. 33-38
- 論文:Simon Luechinger, Stephan Meier and Alois Stutzer, 2010, "Why Does Unemployment Hurt the Employed? Evidence from the Life Satisfaction Gap Between the Public and the Private Sector, The Journal of Human Resources, 45(4), pp. 998-1045