歯・口の病気

歯の寿命を延ばす方法―カギは生活習慣の改善にあり!

虫歯や歯周病は1日ではできません。毎日繰り返される生活習慣が大きく影響しています。毎日の生活習慣を見直しをすることで、健康な歯の寿命を延ばすことができるのです。歯に影響を与える習慣と改善方法について解説します。

丸山 和弘

執筆者:丸山 和弘

歯科医 / 歯の健康ガイド

歯石の原因は生活習慣にあり?

巨大歯石,信じられない,メガ歯石,

巨大な歯石も生活習慣が原因
 

生活習慣は、一度固定されるとあまり考えることなく、無意識のうちに繰り返してしまいがち。しかし自分で意識して変えれば、変えた生活習慣を繰り返すことは意外とスムーズにできるようです。今回は、歯の寿命を延ばすために役立つ生活習慣について説明します。

まずは、毎日意識せずに繰り返す歯磨きから。特に前歯の後ろや、奥歯の周囲などを磨き残してしまう人がいます。繰り返し磨き残された部分には、唾液によってプラークにミネラル分が沈着して歯石ができてしまいます。定期健診などで磨き残しを指摘され、その後に意識的に磨き方を変えていると、磨き残しがなくなり、歯石が減少してくるケースをよく見かけます。

よく患者さんから歯医者の先生は虫歯がないんですか?と質問されることがあります。確かに私自身も虫歯は少ない方ですし、ときどき見かける歯科の先生方の口の中も虫歯の治療痕などが少ないケースがほとんどです。でもよく考えてみると、先生だからといって全員が矯正などで綺麗な歯並びをしているわけではなく、歯の質もさまざまです。

それにもかかわらず歯科関係者に虫歯や歯周病が少ない人が多いというのは、それぞれ自分のウイークポイントをしっかり理解して、それに対して日々の生活習慣で対策を行っているからでしょう。

歯の寿命のためには噛みすぎはNG

よく噛んで食べることは大切。しっかり噛んでから食べることで、内臓の負担を下げることができます。しかし過度の噛みすぎは、歯の劣化を早めてしまう原因にもなるのです。大きく分けて2つのダメージが考えられます。

■歯へのダメージ
歯の表面のエナメル質は人体でもっとも硬いのですが、その分もろいのです。強い衝撃が繰り返されると、歯の表面にマイクロクラックが入り、歯がひび割れを起こします。これは虫歯や知覚過敏の進行を早めます。

■骨や歯ぐきへのダメージ
歯そのものを押し付けたり揺らしたりする力が発生するため、歯を支えている骨が緩んだり、歯ぐきのポケットに歯周病菌が入り込みやすくなったりして、歯周病が急速に進行するリスクが高まります。

歯を強く噛んで負担をかけても、筋肉とは異なり鍛えられて強くなることはありません。むしろその逆で、歯にとっては噛めば噛むほどダメージが蓄積されると考えることも大切です。しかも永久歯は途中で交換することもできないため、生涯に渡って、摩耗やクラックを蓄積させ続けるのです。

予防法としては、硬いものを食べるときは、出来るだけ奥歯で噛むこと。すでに奥歯が抜歯になっている人は、奥歯があるときのように強く噛みしめないで、加減しながら、回数を多く噛むようにすることや、入れ歯やインプラントを利用して残っている歯以外の部分に噛む力を少しでも分散させることを考えることが大切です。

知っておきたい3つのポイント

就寝時のリスクを理解しておく
歯に関しては、虫歯などは寝ている間に作られると言われるほどで、就寝中がもっとも劣化するリスクが高いのです。この原因は、唾液の分泌が減少することによる虫歯リスクの上昇です。唾液が少ないと口の中で中和や修復が起こりにくいため、寝ている間に無防備になり、歯が虫歯菌に抵抗することができなくなるためです。

さらに就寝中の歯ぎしりなどは、アゴの動きと噛む力に対してのリミッターが外れていることも多く、日中では再現できないほどの強い力で噛んだり、アゴが外れるのではないかと思われるほど無意識に激しく動かすことも。寝ているときの方が歯を痛めつけているケースもあります。

このことから就寝前の歯磨きは出来るだけ細菌を残さないように歯磨きを行い、さらに歯ぎしりが気になるようであれば、歯科医院で摩耗防止のプレートを作ってもらうなどの対応を考えます。

■歯磨きは回数よりも確実な1回を心がける
歯磨きを1日3回していても、虫歯や歯周病になってしまうのはどうしてでしょう? これは、磨き残しがいつも同じ場所に起こりそれを繰り返しているためで、たとえ1日5回行ったとしても、磨いていないのと同じなのです。

このため1回は時間をかけて丁寧に磨くか、3回磨くのであれば、意識的に磨くたびに歯ブラシの動かし方を変化させたり、1回は、電動歯ブラシ、フロスや歯間ブラシを利用したりと、変化をつけ、磨き残しにならない可能性を高めましょう。

酸っぱいものは中和を意識する
歯の表面は、酸性の食品やプラークが出す酸で、毎日のように溶けては、修復されるを繰り返しています。歯を溶かす可能性が高い、酸性の強い食品を食べるときや、飲むときは、あまり長時間歯に触れないように考えたり、酸性が強いと感じた場合には、その後に出てくる唾液を利用して、口の中に貯めて中和するように歯に触れる時間を長くしたりしましょう。

口の中を唾液で潤った状態にしておくことは、虫歯予防だけでなく口臭予防にも大きな効果が期待できます。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます