テクノポップ/アーティストインタヴュー

アーバンギャルドのたのしいプロテスト

平成二十七年十二月九日、アーバンギャルドが放つ問題作『昭和九十年』! 松永天馬、浜崎容子、瀬々信、おおくぼけい…メンバー全員が一体となって、トラウマテクノポップの枠には収まらない「殺せない言葉」と「ひしめき合うサウンド」が響くコンセプト・アルバムが出来ました。メンバーに登場していていただき、その想いを語ってもらいました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

「昭和九十年」がコンセプトとなった理由

ガイド:
7枚目のオリジナル・フルアルバム『昭和九十年』が、12月9日にいよいよ発売となります。アーバンギャルドとしては初のコンセプト・アルバムということですが、今回このコンセプトでアルバム一枚を作り上げようと考えついたのには、何かきっかけや衝動のようなものはあったですか?

昭和九十年(初回限定盤) (amazon.co.jp)
showa90a

昭和九十年(初回限定盤)


昭和九十年(通常盤)
showa90b

昭和九十年(通常盤)


松永:
満を持して、というところでしょうか。これまでもアルバム毎に大枠を設けたり、テーマを決めたりはしていたのですが、今回はよりコンセプチュアルに、平成二十七年とはパラレルな「昭和九十年」という時代を描き出す内容となっています。メディアが喧伝する報道と現実が乖離していたり、液晶のなか……ネットばかりが豊かになってリアルが色々な意味で貧困になりつつあるこの時代において、フィクションとノンフィクションをつなぐ「くさび」のような作品を提示する必要にかられ、止むに止まれず作り上げた部分もあります。結果、歌詞やサウンドが一曲のなかだけで独立せず、収録曲のなかで相互に作用しあっている、演劇的かつ映画的なものが出来ました。
urbangarde

左から:瀬々信、浜崎容子、松永天馬、おおくぼけい


トレヴァーの絵とアーバンギャルドの音楽

ガイド:
 前回、ライヴ会場限定で地下出版された『少女KAITAI』に続き、今回もトレヴァー・ブラウンさんによるジャケ! 同じく、天馬さんの書籍としての作品集『自撮者たち』のイラストも、トレヴァーさんで、このところコラボが続いていますね。やはり、コンセプトからしてもトレヴァーさん以上の適役はいないという所でしょうか?

自撮者たち 松永天馬作品集 (amazon.co.jp)
jisatushatachi

自撮者たち 松永天馬作品集


アーバンギャルドの地下出版 (All Aboutテクノポップ)

松永:
新体制になり、初心に帰ったのかもしれません。僕らが「女の子戦争」という曲を発表した後に「GIRLS WAR」という展示をおこなうなど、トレヴァーの絵とアーバンギャルドの音楽はお互い強いインスピレーションを与え合っているような気が勝手ながらしています。
  • 1
  • 2
  • 3
  • 6
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます