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「恋愛」と「自分」の距離の取り方

恋愛でボロボロになるのはかっこわるい? それとも自分を見失うほどのめり込むのが恋愛? ――ある騒動をきっかけに、「恋愛と自分自身の距離の取り方」を考えてしまった。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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現代女性たちの恋愛の優先順位

恋愛のためなら死んでもいい……という女性は、最近少なくなった?

恋愛のためなら死んでもいい……という女性は、最近少なくなった?

先日、有名女優の自殺未遂(?)騒動が話題になった。すぐに誤報だとして否定され、すでに本人も元気に復帰会見をして事態は収束したが、交際中の俳優の自宅で起こった件ゆえに、いろいろ憶測されてしまったのだろう。

この件を聞いて、「そういえば最近、恋愛で悩んで自殺未遂をする女性の話はあまり耳にしないなあ」と感じ、周囲のアラサー女性たちにどう思うか尋ねてみた。結果、「恋愛で悩んで死にたくなるのはわかる」と答えたのは、10数人のうち、ふたりしかいなかった。

「恋愛で悩んでも意味がない」が多数派?

私自身、30歳前後までは恋愛で悩み苦しみ、「死んでやる」と相手を脅したこともある。それほど、恋愛の優先順位が高かったのだ。恋愛がすべてだったと言ってもいい。

「恋愛にそれほどのプライオリティを置いている人は、私の周りにはいませんね」

そう断言するのは、アイコさん(30歳=仮名・以下同)だ。

「2年つきあっていた彼と別れて1年たつけど、特定の恋人を作らないほうがラクだと思うようになってるんですよ。別れたことをきっかけにひとりでスペイン旅行をしたらフラメンコにはまり、今は時間があるとレッスンに通っています。そこで新たな友だちもできたし、仕事も大変だけどやりがいがあるし……。恋愛に時間や労力をとられるより、今のほうがずっと充実しています」
恋愛よりも、趣味や仕事に夢中な女性が増えつつある?

恋愛よりも、趣味や仕事に夢中な女性が増えつつある?


「私も恋愛に重点を置く生活はよくわからないなあ」

そう言うのは、ノリコさん(32歳)。2年つきあっている人はいるが、お互いにべったりした関係を望んでいないため、会うのは週に1回程度。別の予定が入れば、デートはキャンセル。

「信頼関係はあると思います。お互いの予定はだいたいわかってるし、会えない理由はちゃんと説明するしね。会いたくてたまらないという気持ちになることもたまにはあるし、憶測すれば相手が浮気している可能性だってあるけど、見えないところで相手の行動を疑ってもしかたないと思うんです」

冷めているのか達観しているのか。やはり、恋愛がすべてではなくなっているのだろう。

「恋愛って結局、人間関係のひとつでしかないと思うんです。過剰な期待をして裏切られるくらいなら、一歩引いていたほうが傷つかなくてすむ。そういう思いもありますね」

ノリコさんは、さらりとそう分析する。のめり込んだほうが負け、とも言った。恋愛には「負けるが勝ち」という要素もあるように思うのだが、そう言ったら却下された。

「負けは負け。自分のほうが好きで苦しむより、相手に追わせたほうが得ですよ」

そう言いきられてしまった。


恋愛でボロボロになるのは、かっこわるい?

彼の部屋でためこんだ睡眠薬を……。

彼の部屋でためこんだ睡眠薬を……。

もちろん、過去に恋愛でぼろぼろになったことがあるという女性もいる。ユウコさん(33歳)だ。

「つきあっている人と結婚したかったのに、彼はなかなか踏み切らない。そのうち、鬱陶しがられて、『オレはもっとさらりとした関係がいい』って。でも私は彼を思いきることができない。ついには死のうと思いつめました。彼がいないと生きていけない。本気でそう思ってた。医者にもらった睡眠薬をためて、一気に飲みました。彼が出張中に、彼の部屋でやったんです。結局、死ねなかったけど……」

彼に発見されて救急搬送。ますます彼の気持ちは離れていった。社内恋愛だったため、ユウコさんは会社にもいづらくなり退社。

「それが3年前です。実家に戻ったけど、地元でも私が自殺未遂して戻ってきたと噂が流れて。小さな町だから、両親や同居している兄夫婦にも迷惑がかかる。半年ほどでまた東京に戻り、スナックでバイトをして暮らしていました」

そのスナックの常連客に、今勤めている会社の社長がいた。

付き合っていて苦しいという関係は、見直してみてもいいかもしれない。

付き合っていて苦しいという関係は、見直してみてもいいかもしれない。


「中堅の食品関係の会社です。営業なので大変だけど、仕事は楽しいですね。社内の人間関係もよくて、仲のいい女性の先輩とはしょっちゅうごはんに行ったりしています。他の先輩に誘われて、週末はテニスをするようにもなりました。生活が充実している今、当時を振り返ると、私は自分の生活を充実させるために恋愛に依存していたのかもしれないと思うようになりました。本当に彼のことが好きだったのかどうか、今となってははっきりしません」

恋愛ではどういう関係がベストなのかは、人による。程度の差こそあれ、お互いに依存するところもあるだろうし、補完し合うこともあるだろう。欠損感を埋めたくて恋愛する人もいるし、自立した人間同士が手を携えて同じ方向へ歩いて行くことがベストだとする人もいる。それは組み合わせの問題であると同時に、自分自身の生き方、生きる姿勢の問題でもある。

ただ、つきあっていて「苦しい」と感じる関係、常に不安を覚える関係は、見直したほうがいいのだろう。

「今はまだ怖くて恋愛できないけど、次に恋愛するときは、“自分”を失わないでいたいと思っています。恋愛でボロボロになるなんて、かっこわるすぎる

ユウコさんは笑顔でそう言った。

自分を失うからこそ恋愛と言えるという考え方もある。ボロボロになってこその恋愛だと個人的には思うが、そうなると確かに、現実の生活を送っていくことはむずかしい。

恋愛と自身のありようは、いくつになってもすぱっと割り切れるものではないのかもしれない。

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