「赤坂檜町」という場所
東京ミッドタウンから、外苑東通りを北へ200mほど行ったところに「旧乃木邸(重要文化財)」がある。「馬をかわいがり大切にした大将の人柄が偲ばれる」と案内板にある通り、厩は煉瓦造。かたや隣りの自宅は木造平屋である。ドイツ留学中に見たフランス軍隊の建築を模範としたその家屋は「飾り気がなく簡素で合理的に作られている」(同)。さらに「傾斜地を巧みに活かし、地下構造を持つ」とある。乃木邸は、駐屯地(現在の「東京ミッドタウン」)近くに構えたものと思われる。戦後は米軍施設として、その後は防衛庁として広大な敷地は継承されてきた。都内一の高さを誇るオフィスビル(約248m)や約1880m2もの芝生広場は都立檜町公園(約1.6ha)との繋がりをして都心では貴重な自然あふれる空間として知られるようになったが、これもすべてその土地の大きさ故である。
もっとも起点は武家屋敷であった。江戸時代、長州藩毛利家の御屋敷は建造物にヒノキが多く使われたことから「檜屋敷」と呼ばれた。東京ミッドタウンが着工した2004年、埋蔵物の一部である御屋敷の石組構が敷地北端に縁石として活用されている。また当時は約3万年前の旧石器時代のナイフまで発見され、歴史を塗り替えたと話題になったよう。六本木の高台地は有史前から住むに適した場所であったことが証明されている。
緑の借景を南側に
「パークコート赤坂檜町 ザ タワー」は都営大江戸線「六本木」駅から徒歩7分、日比谷線「六本木」駅から徒歩9分、千代田線「乃木坂」駅から徒歩3分。地上44階建て、総戸数322戸。うち販売総戸数は197戸である。敷地面積は4656.24m2。公開空地を設け、容積率の緩和を受けている。設計は日建設計、デザイン監修は隈研吾氏。施工は大成建設、売主は三井不動産レジデンシャルである。立地の特徴は、何といっても前述の芝生広場を南に望むロケーションであろう。さらに「検討者の評価ポイントとして、外苑東通りに面していないこと」(販売関係者)が挙げられる。
「東京ミッドタウン」にはカジュアルからフォーマルまで数多くの飲食店があるだけでなく、スーパーマーケット「東急プレッセ」も入居。大きな芝生広場は寝転がるだけでも気持ちの良いものだが、ヨガなどのイベントも行われており、思わぬ楽しみが広がるだろう。こうした実用的な空間が隣接していることは「暮らしをイメージしやすい」効果につながっているものと思われる。
土地の記憶を継承する超高層タワーが誕生
建物は非常にスレンダーだが、構造には免震を採用するとともに複数の制振装置を組み入れている。まず基礎は杭基礎と直基礎を併用。免震は中間免震である。制振は制振構造のマンションでよく見られる壁式ダンパーや粘性制振壁を使うとともに、屋上にアクティブマスダンパーも設置。タワーマンションでは珍しい手法である。形状による地震や風揺れの低減に努めている。外観デザインは「檜」をモチーフにした。角を取り、外周部に木目のフィンを装飾。夜間はスリットの灯りが取り囲む、個性的なタワーマンションとして認知されるだろう。注目はランドスケープである。南側「東京ミッドタウン」からの徒歩経路は足元に緑が広がる橋を渡し架け、北側低地には車寄せを配した。高低差のある敷地をいかし、どのアプローチからも自然を無意識に感じ取る設えになっている。
長期優良住宅認定マンションでもある。モデルルームはプレミアム157.16m2(41階想定)と106.86m2(30階想定)。それぞれ予定価格は7億2000万円、3億2950万円。最高価格は15億円(203.96m2、最上階想定)で坪単価2400万円を超える(予定)。バブル以後では最も高いマンションになるのではないだろうか。
「パークコート赤坂檜町 ザ タワー」は4月中旬から資料請求を受付け、現在累計約5000件。9月11日より事前案内会を開始し、来場者は累計約900件。11月上旬から第1期分譲が始まる。現時点では販売総戸数の7~8割を売り出す予定だそう。
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