魔女のお祭り「ヴァルプルギスの夜」体験記／ドイツ(3ページ目)

SL「魔女列車」でブロッケン山へ！

いよいよお祭りのメインイベントへ。夕方、ヴェルニゲローデを出発する蒸気機関車に乗り、魔女が住むといわれるブロッケン山麓の町シールケ（Schierke）へ向かいます。

列車が出発して窓の外を見てびっくり！ 線路沿いに町の人々がずらりと並んで、みんな満面の笑みでこちらに手を振ったりカメラで激写したりしているではないですか。じつはこの列車は、先ほど町のお祭りで活躍していた魔女一団が乗り込む「魔女列車」といわれるもので、この地域の人たちにとって特別なものだったのでした。そんな貴重な列車に乗り合わす事ができた幸運に感謝！

世界の鉄道ファンが憧れるハルツ狭軌鉄道のなかでも、ブロッケン現象や魔女伝説で有名なブロッケン山を登る「ブロッケン鉄道」はひときわ人気が高いルート。霧がかる森へと入っていく昔ながらの蒸気機関車（しかも乗客は魔女たち）……鉄道ファンでなくとも興奮せずにはいられません！

■ハルツ狭軌鉄道HP

ブロッケン山 シールケの魔女パレード

魔女列車に揺られること約1時間でシールケ駅に到着。ゲーテのファウストの中にも登場するシールケ（Schierke）は、村といった方がしっくりくるような小さな町なのですが、降り立った駅の周りは本当に何もない山の中。降り出した雨のなか、かなり足場の悪い山道を下って行きます。

町にたどり着くと、民家の入口や屋根、電柱や木の上などあちらこちらに魔女（人形）の姿を発見。 雨が強くなってきたので近くのレストランで雨宿りがてら食事をしていると、間もなくして魔女たちのパレードが始まりました。この地に住む人々にとって、ヴァルプルギスの夜は待ちに待った年に一度のお祭り。雨なんて物ともせずに、大人も子どももとっても楽しそうな笑顔！
シールケのお祭り会場となるクアパークでは中世のマーケットが開かれ、コンサートやダンスなど魔女にちなんだプログラムが目白押し。真夜中になると、燃え盛るかがり火を囲んで魔女たちが歌い踊り、辺りはいよいよ幻想的な雰囲気に包まれます。

……らしいのですが。じつはこの後雨がますます強くなったため、ガイド一行は急きょシャトルバスでヴェルニゲローデに戻ることになり、泣く泣く魔女の村を後にしたのでした……（涙）。

生涯の思い出となったヴァルプルギスの夜

残念ながらクライマックスのかがり火は見られなかったものの、今回ハルツの山で体験したヴァルプルギスの夜は忘れられない思い出となりました。ドイツには「おとぎの国のよう」と称される場所がたくさんありますが、こんなにも幻想的な世界が残っているなんて、もはや奇跡。

魔女のお祭りに参加する観光客は年々増えているものの、まだまだ知る人ぞ知る存在。大都市の派手なイベントよりも、伝統的で素朴なお祭りを体験してみたい人には特におすすめです！ ガイドも次回は、絶対に魔女のコスプレでリベンジするぞーと心に決めています。

取材協力：ドイツ観光局

■ヴェルニゲローデ観光局HP
■シールケのヴェルプルギスの夜HP