お父さんと結婚したい?
この結果になんとなく違和感を覚えるのは、個人的に親を好きとか嫌いとかあまり考えたことがないからだろうか。あるいは世代的なものだろうか。子は親を選んで生まれてきたわけではない。親子はある種の縁だから、私自身は好き嫌いの判断を放棄している。親からいっても、「こんな子になるはずじゃなかった」と思っているかもしれない、と冷静に考えている自分がいる。
父親のような人の具体的内容は?
父娘関係がいいのは悪いことではない。だがかつて若い娘は、父親を無意識のうちに嫌うことが多かった。父親とは違うタイプの恋人を選び、結婚して子どもをもって、ようやく父との仲がスムーズになったという話もよく聞いた。父親は恋人選びの反面教師のような役割を果たしていたのだろう。昔の「父親」は、今の父親より横暴だった。その結果、家族から疎まれることも多々あった。そんな時代を経て、今の父親は、父権を振りかざさなくなり、「友だち親子」が増えた。
だが、「父親のような人と結婚したい」の具体的内容は、どういうことなのだろう。周りの20代に聞いてみた。
「うちは両親がとても仲がいいんです。父が母をすごく大事にして気を遣っている。それを見ていると、こういう人と結婚したいなと思いますよ」
マナミさん(27歳)は、穏やかな笑みを浮かべながらそう言った。
優しいお父さんは、彼女にとって男性を選ぶときのベースになっている。妻に気を遣い、いつも妻をかばう夫。そして妻はそんな夫を心の底から頼りにして信頼する。そんな関係がごく自然に作れるとマナミさんは思っていたそうだ。
「ところが自分の恋愛となると……。実は私、去年、2度目の婚約破棄をしているんです。最初は24歳のとき、学生時代から2年のつきあいだった先輩と。結婚式をどうするかという話になって、あまりに意見が違うことがわかって。彼の家は、よくいえば家族がみんな自立している、悪くいえば仲がよくない。うちは仲のいい家族なので、家族観がまったく合わなかった」
そして昨年が2度目。つきあって半年で婚約したものの、彼からの愛情に不審を抱いた。
「父から愛されて育った感覚が強いので、やはり他人である夫は私をきちんと愛してくれないんだ、と落ち込みました。今でもやはりそう思っていますね。父は、恋人や婚約者は違うとわかっている。でも、私をじゅうぶんに愛してくれないと不満を抱くと、この人じゃダメだわと思ってしまう」
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