夫婦関係/夫婦円満のコツ

夫婦関係に潜む共依存にご用心(2ページ目)

自己の存在意義を他人との人間関係に依存することを、共依存症といいます。アルコール依存症かつDVの夫婦がその最たる例ですが、逆に、妻が夫を支配することもあります。妻が夫婦生活のすみからすみまでにおいて自分の価値観を夫に押し付け、思い通りにいかないことがあるとキレて夫を従わせるというようなケースです。

執筆者:おおた としまさ

理不尽にはNOということが大切

結婚生活を始めれば、些末なことで意見が食い違ったり、価値観の違いが露呈したりということがあります。そのようなことは本来、生まれも育ちも違うお互いの違いを認め合い、折り合いを付けながら暮らしていくことのできる人間としての懐の深さを身に付けるための試練です。それなのに、夫婦の一方が、もう一方のいいなりになってしまうとどうなるか。

さきほどのアルコール依存症かつDVの夫婦がその最たる例ですが、逆に、妻が夫を支配することもあります。妻が夫婦生活のすみからすみまでにおいて自分の価値観を夫に押し付け、思い通りにいかないことがあるとキレて夫を従わせるというようなケースです。まるで暴君です。理不尽な要求に対しては、勇気をもってNOということで、お互いが人間的に成長できる機会となるはずなのですがしかし、夫もそれを言わずに、場当たり的に妻のいいなりになってしまうので、妻はいつまでも裸の王様で居続けることができてしまうわけです。こうなると立派な共依存関係です。「産後クライシス」や「セックスレス」が共依存関係に起因していることもあります。

共依存関係は、実はいたるところに潜んでいます。たとえば、親子関係にも。常に子どもにダメ出しをして「まったくあなたはダメな子ね」と嘆く親というのは、実はそうやって子どもに「自分は一人では何もできない」という暗示をかけ、親としての存在意義を強く感じたいと、無意識的に願っていると考えられます。

子どもが自立への歩みを始めると、それをまったく無意識的に邪魔しようとします。そういう親は、自分で自分を認めることができず、子どもの存在に自分の存在を依存してしまっているのです。そして恐ろしいことに、依存的な性質は子どもにも引き継がれます。常にダメ出しをしてくれる人が近くにいないと安心できない人に育ってしまうのです。

上記のような「ダメ夫」になってしまったり、「ダメ夫をダメなままにしてしまう妻」になってしまったりするのです。そういう大人のことを、俗に「アダルト・チルドレン」と呼ぶのです。


本音を伝えないことは相手を過小評価していること

本音をぶつけ合うことは痛みを伴います。しかし、相手のことを思えばこそ、その痛みを乗り越えて、夫婦として1段上のステージに上がろうと思えるはずです。相手に遠慮して自分の本心を伝えないというのは一見思いやりのように見えて、相手を過小評価していることにほかなりません。「本心を伝えたら怒っちゃうだろうな」とか「意見を聞き入れてはくれないだろうな」と、相手の能力を見限ってしまっていることだからです。そういう夫婦関係は、本当の信頼関係で結ばれている夫婦関係とはいえないでしょう。本当の信頼関係とは、傷つけ合うことを恐れて遠慮することではなく、仮に傷ついたとしても自分たちなら乗り越えられると信じ合えることです。

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