全長800mのアーケード商店街
午前10時過ぎ。僕は高田馬場駅から神田川を目指した。6月28日で「べんてん」というラーメン店が閉店してしまうから、その前に行っておこうと思ったのだ。神田川沿いには長蛇の列ができていた。その最後尾に並ぼうとしたらそこに並んでいる男性が「自分が最後だと店の人に言われました」とのこと。がーん。ダメだったか。時刻を聞けば、10分ほど前のこと。もう「べんてん」のつけ麺、ラーメンは食べられない。
が、けっこう並ぶことを覚悟してきたので、時間がガラリとあいてしまった。どこか商店街散歩にでも出かけよう。天気予報によれば、東京はゲリラ豪雨だというので、屋根のある商店街がいい。ということで、山手線に乗り、目黒駅から東急目黒線で武蔵小山駅へ。
昔一度歩いたと思うのだが、景色はまったく覚えていない。というわけで、ざっと歩いてみた。さすがに長い。第一アーケード(全長480m)ができた1956年(昭和31年)当時は、東洋一長いアーケード商店街だったそうだ。今ではアーケードも拡張され、全長800m。東京では一番長いそうだ。ちょっと見ただけでも日本を代表する外食チェーンなどがいくつもあった。
いったん端っこまで行き、戻ってきたら、驚いた。Vの字のようにもう一方にもアーケードが伸びていた。いや、長さが違うのでLの字といったほうがいいか。
L字の商店街
L字の下の角に位置するのが、武蔵小山駅だ。上に伸びる長い商店街と右側に出た短い商店街があるのだが、この2つはまったく雰囲気が違っている。短い方の商店街は、すぐに途中で26号線に遮られ、アーケードが切れている箇所がある。
屋根のないところにきたとき、雷が鳴り、ポツポツと雨が落ちてきた。反対側からやってきたのがテレビ取材のクルー。機材を急いで運んでいた。ちなみに昨年暮れのテレビ番組『テレビこすられたGP 2013年最もTVに出た○○は何だ!?SP』(TBS)の中で、2013年もっともテレビに出た商店街として「武蔵小山商店街パルム」が紹介されていた。ちなみに2位が「戸越銀座商店街」、3位が「巣鴨地蔵通り商店街」だった。
テレビで取り上げられる際、もっともよく登場すのがこちらの「王様といちご」だそうだ。巨大な「キングパフェ」をタレントが食べられるかどうかというのがお約束のシーンなんだとか。僕はといえば店頭の写真を撮っただけで終了。ちなみにこちらは長い方の商店街にある。
町のお肉屋さんでコロッケだ!
さて、本日のコロッケ、どこで買おうかしらん。短い方の商店街にお惣菜屋さんがけっこうあって、どこも混んでいた。悩んだ末に、さっき長い方の商店街の終わりあたりで見た「町のお肉屋さん」というお店がいいかなと向かうことにした。こちらにもちょっと行列が。平牧三元豚コロッケを注文すると「揚げたてです」と熱々のコロッケをくれた。お会計は店内、外税だったので105円を払う。
サクサク熱々でうーん、旨い。これ、ウスターソースが合うだろうなぁ。今回の商店街散歩も突発的だったんで、また携帯ソースを持参し忘れちゃった。
商店街の歴史は古く、武蔵小山商業組合が結成されたのは1937年(昭和12年)。そして1952年(昭和27年)に、日本の商店街としては初めて「割賦販売」を開始している。今のクレジットカードの元祖のようなものだ。そして、商店街で発行するポイントカードの会員も2011年(平成23年)に25万人を突破。巨大な商店街だ。
今年最初の冷やし中華をいただく
さて、ランチをいただこう。実は、あてにしていた店があった。「自慢亭」というなかなかおもしろい名前の中華料理屋さん……と、定休日で閉まっていた。べんてんに続き、今日はなんだかついてないなぁ。雨は上がり、強い日差しがさしたかと思うと、急に空が暗くなったりして天気は不安定だ。歩きまわって、ちょっと気になっていたのが、「蘇州屋台」というお店。とにかくメニューが豊富。で、目に止まったのが、こちら。
これまで見た冷やし中華の看板って、チェーン店系をのぞけば、たいていが700円~850円のところが多かった。それに比べると安いなと思い、入店。店内は、近隣のサラリーマンやOLさんなどでいっぱい。迷わず、冷やし中華を注文。
ほどなくして、出てきたのがこれ。麺がシコシコしてて、なかなか美味しい冷やし中華だ。食べ終えて、僕は再び東急線に乗り込んだ。と、ここまで原稿を書いて、どうにもちょっとモヤモヤが治まらない。
やっぱり「自慢亭」に行きたくなって再訪問
数日後、再び僕は目黒駅から東急目黒線に乗り、2つ目の駅である武蔵小山駅で下車した。前回定休を食らった自慢亭へ行くためだ。外観を見て、ますます気になっていたのだ。時刻は午前11時半。武蔵小山商店街パルムの中ではなく、駅から西に歩き、26号線を越えたところにお店がある。ネットで調べたところによれば、創業は1954年(昭和29年)で、有名なのは炒麺(軟い焼きそば)だそうだ。店に入ると、白木のカウンターだ。いいかんじだなぁ。
手前のご婦人2名が湯麺(タンメン)を食べている。ひとつ席をあけて座っている男性が食べている麺料理が気になった。その隣に着席し、メニューに目をやると、うーん、あれは炒合菜麺(野菜ラーメン)だろうか。なんて読むんだろう。わからないので、「野菜ラーメンください」と注文。ほどなくして出てきたのがこれ。
おお、もうね、香りがすごい。絶対に旨いだろうっていう香りだ。さっそく、スープをひとくち。これはガツンとくるねぇ。タンメンを食べていらっしゃるご婦人の一方が「美味しいわぁ、もう1杯でも食べられるわよ、わたし」と言うと、もう一人がウンウンと頷いている。
こちらの野菜ラーメンも野菜がたっぷりで結構な量だけど、ずんずん食べられる感じだ。旨い、旨い。懐かしい味ではない、自分にとっては初めて遭遇する味だ。ああ、やっぱりきてよかった。ほぼ食べ終わる頃、隣に座った男性も「野菜ラーメン」と注文していた。野菜ラーメン率は高い。他にも定食などのメニューもあり、それらを頼む人もいた。そして、炒麺を食べている方もいらっしゃって、これも美味そうだった。またぜひ来たい。
サマーセールが始まっていた
自慢亭で大充実のランチを食べ終え、腹ごなしに商店街をブラブラ歩くことにした。サマーセールが始まっている。ガラガラと福引きの玉を回す音が響き渡っている。あれは、抽選機っていうんだっけ、ガラポンっていうんだっけ。ガラガラポンかな。なんだこれぞ商店街って感じの雰囲気だねぇ。活気があっていい。やっぱり商店街ってこうでなくちゃねぇ。
と、抽選会場を通り過ぎ、駅へ向かう。と、後ろからカランカランという鐘の音が聞こえてきた。一等賞でも当たったのかな。そんな音を聞きながら武蔵小山の駅へ向かった。
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