オルガン奏者バーバラ・ディナーリン「ザッツ・ミー」より「グランドファーザーズ・ファンク」
ザッツ・ミー
女性ジャズプレイヤーの中でも、ピアニストは比較的多くいますが、オルガン奏者となるとやはりこの人、バーバラ・ディナーリンの名前が上がります。
良くも悪くも特徴的な音色で、それゆえにフレキシブルなオルガンの特性。このCDでは、ドラムのデニス・チェンバースのサポートを得て、激しいリズムのファンクナンバーにも生かされています。
まずはこのCDはジャケット写真が秀逸。音を聴く前から、バーバラの躍動感が伝わるジャケットになっています。
その昔レコードの時代から、「ジャケットの良い演奏に外れなし」と言われるほど、ジャケットは大事なもの。それは、ジャケットデザインのサイズが小さくなったCDになっても変わりません。インテリアとして部屋に飾っておきたいCDと言えます。
共演陣では、トロンボーンのレイ・アンダーソンや、この吹きこみ(1992年)の10年後に51歳の若さで交通事故で他界するサックスのボブ・バーグが好調。強力なリズム隊に一歩も引かない、豪快なソロを取っています。
もしかしたら、ドラムのデニスもトロンボーンのレイも、そしてサックスのボブも、魅力的なバーバラに魅せられ、良いところを見せようと張り切っていたのかもしれません。ジャケットが雄弁に語る好盤です。
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ベース&ヴォーカル エスペランサ・スポルディング「エスペランサ」より「クエルポ・イ・アーマ」(ボディ・アンド・ソウル)
Esperanza
「クエルポ・イ・アーマ」というのはスペイン語で「ボディ・アンド・ソウル」と言う意味です。この曲は1930年の古いスタンダードの「ボディ・アンド・ソウル」のことです。
そのジャズの王道ともいうべき曲を、エスペランサは得意のベースの弾き語りで、題名と同じスペイン語で歌っています。その言語的な響きの違いが、思わぬ新鮮さを演奏に与え、現代的に洗練されたダンサブルな印象に仕立て上げています。
スペイン語で歌っているとはいえ、アメリカに生まれたエスペランサです。その音楽もキャラクターも様々な国や民族の良い部分を集めたかのようです。いかにもアメリカ的なインテリジェンスを感じさせてくれるところが、さらにお洒落感を高めています。
キュートな歌声の印象の通りにジャケット写真で微笑むエスペランサは、ナイトミュージックとしてのジャズというよりは、現代っ子らしい屈託のないチャーミングさを持っています。
体つきも華奢で、彼女が抱える大きなウッドベースが、彼女とすぐには結び付かないほどです。それでも、ひとたびベースを弾き始め、歌い始めればもうそこには一人の卓越した技能とセンスを持った若い有望なミュージシャンの姿があります。
その辺のギャップが、エスペランサがより多くのファンの心をつかむ要因の一つであるのでしょう。今後がますます楽しみなベーシスト&ヴォーカリストです。
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