電子書籍/電子書籍業界動向

地球書店終了、電書サービス負の連鎖はいつまで続く?

地球書店のサービス終了がアナウンスされました。今回は姉妹サイトコミックシーモアへのポイント付与による引き継ぎが案内されていますが、やはりユーザが置いてきぼりである感が否めません。そんな地球書店終了と、ガラケー電子書籍から引き継ぎを行い、スマートフォン向けに成功を収めている、思わぬ伏兵「めちゃコミック」の状況と実力を紹介したいと思います。

執筆者:上村 充弘

地球書店終了のお知らせ

地球書店

地球書店終了のお知らせ


私が電子書籍ガイドを始めてから約1年、悲しいことにはや3件目の終了記事になります。今回のサービス終了は、NTTソルマーレが運営している『地球書店』という、新しい電子書籍市場向けの電子書籍サービスです。

NTTソルマーレは地球書店の他に、『コミックシーモア』という電子書籍書店を運営しています。コミックシーモアは、2010年に世界最大の電子書籍市場を形成した、ガラケー電子書籍で最大かつ最強の電子書籍書店として各携帯電話キャリア公式サイト1位を長らく維持してきた書店です。

その、ガラケー電子書籍は、「エロ」、「BL」、「TL」といった、性表現のあるコンテンツで売上を伸ばし、コマ送りというガラケーの画面サイズに合わせるように1コマ、1コマ、コマ送りで見ていくスタイルのコミックで栄えていました。

コミックシーモアはガラケー電子書籍のコンテンツやキャリアの決済代行等を踏襲し、スマートフォン対応を行いました。ガラケーからスマートフォンへ機種変更したユーザーは、ガラケーで購入した電子書籍の引き継ぎ対応も行ってもいます。

今回終了する、地球書店は新しい電子書籍市場に向けて、スマートフォンやタブレットに特化し、コンテンツも紙の普通の本屋さんを意識した取り揃えになっていました。

つまり、NTTソルマーレの狙いとして、ガラケー電子書籍からのユーザーは引き続きコミックシーモアを利用してもらい、新たにスマートフォンやタブレットから電子書籍を始めるユーザーは地球書店を利用してもらおう、という戦略に出たのではないかと考えられます。

ところが、「スマートフォンやタブレットから電子書籍をはじめるユーザー」向け電子書籍書店は、軒並み会員獲得に苦戦。それは頻発する電子書籍サービス終了のお知らせのたびに、「そんな書店使ったことがない」という声がネット上で飛び交う状況からうかがい知ることが出来ます。

ガラケー電子書籍時代には莫大な広告を投入し、ガラケーサイトでその広告を見ないことはなかったくらいの勢いだったコミックシーモアですが、地球書店の広告をスマートフォンサイトで見かけたことは(少なくとも私は)ありませんでした。果たして、業界人以外での地球書店の認知はどの程度だったのか?というところは気になります。

今回のサービス終了におけるユーザーへの保証としては、「地球書店で購入した金額相当分のコミックシーモアのポイント付与」という形になりました。お決まりの「ポイントだけ与えて、別サービスで買い直す手間までは保証しない」パターンというわけです。

同じ会社が行う電子書籍サービスなのであれば、購入履歴の引き継ぎぐらい行っても良いと思いますし、ユーザーの利便性を考えるとそうするべきではないでしょうか?

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