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佐藤琢磨が初優勝! インディカーの楽しみ方(2ページ目)

日本で初めて佐藤琢磨が優勝を飾ったインディカーレース。その魅力、F1との違い、楽しみ方などをご紹介。また、5月末に開催されるアメリカ最大の自動車レース「インディ500」についても解説します。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

現在のインディカー

「アメリカのF1」とも形容されながら、F1よりも前に始まり、F1とは異なる歴史を歩んできたインディカー。現在はアメリカ国内での人気はストックカーレースの「NASCAR(ナスカー)」にナンバーワンの座を奪われているものの、5月に開催される「インディ500」の注目度はその歴史の長さもあって絶大なものになっている。

インディカーのシリーズ戦の源流は楕円形オーバルコースを用いたレースにあり、かつては舗装されていないダート路面のレースもシリーズ戦に含まれていた。

インディカー

インディカーの旧型マシン(1990年代)



1970年代後半からは「CART(Championship Auto Racing Teams)」の運営によってシリーズ戦が成熟し、オーストラリアなどにも進出。オーバルのレースだけでなく市街地レースなどが増加。これによりアメリカ人レーサーの数は減少し、元F1ドライバーやヨーロッパや南米など異なるレース環境で育ったドライバーが多数参戦するようになり、アメリカのF1という雰囲気がより強くなった。しかし、90年代半ばに「インディ500」を軸にしたオーバルレース開催の「IRL(インディカー)」と「CART(チャンプカー)」にシリーズが分裂。12年間に渡り、2つのシリーズが勢力争いを繰り広げるというファンが望まない状況が生まれた。

その分裂も2008年には「インディカー」に統一され、現在は「インディ500」に代表されるアメリカらしいオーバルのレースと市街地コース、常設サーキットの要素を組み込んだシリーズ戦として、再び新しい歴史を刻み始めている。


日本人として夢の1勝を掴んだ佐藤

2013年のインディカーには元F1ドライバーやF1のテストドライバーを経験してきたドライバーなど、ヨーロッパ仕込みの実力派ドライバーが数多く参戦している。その一方で、インディカー、チャンプカーに長年参戦し、チャンピオン経験を多数持つダリオ・フランキッティ(イギリス)やエリオ・カストロネベス(ブラジル)、スコット・ディクソン(ニュージーランド)といった、この道のマイスター達がトップチームに居座り続けている状態であり、F1などで豊富な経験を持つドライバーでも易々と勝てるほど甘く無い。昨年参戦した「鉄人」の異名をもつ元F1ドライバーのルーベンス・バリチェロも最高位4位のランキング12位という厳しい成績に終わっている。
佐藤琢磨

佐藤琢磨 ロータスカラーのマシンに乗ってインディ500に初出場した。【写真提供:Honda】


そんな「インディカー」シリーズに佐藤琢磨が参戦したのは2010年のこと。「スーパーアグリ」の撤退でF1のレギュラーシートを喪失し、2009年はレース活動を休止して、アメリカにレースの舞台を移した。初年度の2010年は最高位9位と散々な成績だったものの、2年目にはようやくコースとインディカーレースの雰囲気に慣れ、日本人が苦手とするオーバルコースのアイオワ戦で日本人初のポールポジションも獲得。表彰台には上がれなかったものの、2回ポールポジションを獲得し、一発の速さを示した。

3年目の2012年には「インディカー」フル参戦を休業していたボビー・レイホールのチームに移籍。決して恵まれた環境ではない状況下で、日本人最高位タイの2位表彰台を獲得した他、「インディ500」ではトップ争いを演じる活躍を見せた。
佐藤琢磨

表彰台に立った佐藤琢磨(2012年) 【写真提供:Honda】


4年目となる今年はアメリカの伝説的ドライバー、A.Jフォイトのチームに移籍。ビッグネームの名門ながら長年低迷の続いたチームだけに苦戦も予想されたが、プレシーズンテストでトップタイムを叩き出すなど、好調ぶりを披露していた中での優勝となった。

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