以下のニュースは、韓国の朝鮮日報で(少し前になりますが)2月25日に配信された記事です。
K-POPの日本国内著作権使用料が110億ウォンを突破
日本におけるK-POP事情とは
(以下省略)
さて、この記事からいったい何が見えてくるでしょうか。
1つは、日本で韓国の音楽がテレビやラジオ、またコンサートやイベントなど、何らかのメディアを通じて、これまで以上に流れた(放送された)結果、いわゆる“作品使用料”がこれだけ発生したという現実が見えてきます。
ちなみに、K-POPが大ブームになっていると言われている他のアジア各国における韓国音楽の著作権収入を観てみると、KOMCAの発表によれば、香港が1億3700万ウォン(約1200万円)、台湾が1億3000万ウォン(約1100万円)、シンガポールが1億ウォン(約870万円)、そしてアメリカが5800万ウォン(約500万円)となっていて、日本だけ桁の違う数字になっていることが観て取れるはずです。
勿論、日本が他のアジアの国において、権利、特に著作権について法の整備が進んでいること。そして、著作権に関してどこの国よりも厳密に管理しているからこそ出てきた数字であって、本来なら、他の国でも、もっと大きな数字が出てもおかしくないはずです。
だとしても、あまりに数字に差がありすぎますよね。
それはやはり、結局このK-POPブームと呼ばれているものは、You Tubeを通じて無料で配信されるミュージック・ビデオが、主な視聴形態、つまり楽しみ方であることの証なのです。あれだけ流行ったPSYの「江南スタイル」あっても、アメリカでの著作権収入が約500万円って、どう考えてもおかしいじゃないですか。
日本でのK-POPの聞かれ方
翻って日本ではどうでしょうか。日本の場合は、放送(テレビやラジオ)で放送される楽曲に関して※は、基本的に、いつ・どの番組で・何時何分・誰の・どの曲が流されたのかを、事細かにJASRACに申請する“義務”があります。
この申請によって、JASRACが使用料を放送局から徴収する訳ですが、韓国楽曲に関しては、2007年末にJASRACとKOMCAが楽曲の相互管理契約を結ぶまで、非常に曖昧な状況でした。つまり、JASRACには、韓国楽曲を管理する義務がなかったため、それまでは、使用者が権利者(もしくはその権利を管理している会社や団体)に対して自己申請をして、使用料を支払うシステムだったのです。
そのため、2003年の「冬ソナ」ブーム以降、ドラマのOST(サントラ)のヒットがきっかけとなって、それまで著作権に対して“ほぼ”関心のなかった韓国の音楽関係者たちが、1つの楽曲に対して、複数の権利を主張し、様々な問題が発生しました。
そもそも韓国では、つい最近まで楽曲を作家から買い取る文化が定着していたため、作詞家・作曲家は、一度買い取られる段階でギャラとしてお金をもらった後は、そもそも“著作権”で収入を得られるという概念は非常に薄かったと言われています。
そのため、「冬のソナタ」のOSTが日本で100万枚近く売れた際に、その売り上げは一体誰に行くのか?という疑問が生まれ、この件がきっかけとなって、作家たちの権利意識が急速に高まっていったことは、容易に想像がつくでしょう。構造的には「およげ!たいやきくん」と一緒ですね。
このような背景があって、「冬ソナ」ブーム以降、自らの楽曲を、買取ではなく、KOMCAや権利を管理する音楽出版社に預ける作家が急増し、著作権の使用料が作家たちの大きな収入源として成長していくことになったわけです。