誰よりも相撲を愛する横綱 日馬富士
お相撲好きの人のあるある!として、好きなお相撲さんを聞かれると考え抜いた末に「嫌いな人はいるけど……」と嫌いな人をあげてしまうというのがあります。
なぜなら相撲好きの場合、概してお相撲さんは全員好きだから。しいていえば数名の取り口の嫌いなお相撲さんがいる程度。なので頂点まで上り詰めた横綱ともなれば、なんだかんだいって全員大好きな力士なのです。
私は子供のころからお相撲中継がテレビで流れている家に育ったので、リアルタイムで土俵にあがっている姿を覚えている横綱は、第55代の北の湖(現相撲協会理事)に始まり、先日横綱になった第70代横綱日馬富士までの16名となります。
北の湖、三重ノ海、隆の里、旭富士、北勝海、大乃国と昔ながらの古きよき強い日本の横綱の姿も忘れられません。それまでの力士には見られなかった筋骨隆々としたハンサムな千代の富士。同世代なので、とにかく横綱になったのが嬉しかった貴乃花と若乃花。あっという間にいなくなった双羽黒……。そしてハワイ出身の曙、武蔵丸に始まる外国人力士の台頭。朝青竜、白鵬と続くモンゴル人横綱……。
そのなかでも私の思い入れの強い横綱は新横綱日馬富士です。彼はモンゴル人でありながら、日本の相撲を面白くしたい、お客さんの喜ぶ全身全霊の相撲を取りたいと幕下のころからずっとずっと言い続けていました。
幕内最軽量、食べても食べても太れないなか、三年先の稽古といって地道に稽古を重ねてきた結果が今にあります。外国人力士を嫌う相撲ファンもいますが、日馬富士は認めるというかたも多いのではないのでしょうか。
安馬時代のひょろひょろの青年のころから、この人の相撲はほかの人と全然違う!と国技館で一目ぼれをしてずっと応援してきました。
横綱になった今でも133kgと幕内力士最軽量。横綱昇進後の九州場所では6敗して、ひやひやさせましたが先日の初場所では渾身の全勝優勝。軽量力士ならでは、低い立ち合い、スピードの速い相撲、技、そして誰よりも気迫のこもった相撲を取る日馬富士。
まだ横綱としての歴史は始まったばかりですが、きっと相撲ファンの記憶に残る愛すべき横綱になるに違いないと思います。
※写真は横綱として初土俵を踏んだ平成24年11月の九州場所会場にあった記念撮影用パネルです。