携帯性と見やすさ、使いやすさのバランスが絶妙
アップルの「iPad mini」が大変な人気を集めています。発売開始直後の週末だけで、第4世代「iPad」とあわせた販売台数が300万台を突破。内訳は公表されていませんが、その多くを新しいジャンルの製品である「iPad mini」が占めていることは、想像に難くありません。先行販売された16GB、32GB、64GBの3パターン、Wi-Fiモデルだけでこの売れ行きですから、日本ではソフトバンクとauから発売されているLTE対応のWi-Fi+Cellularモデルをあわせると、一体どこまで売上げを伸ばすのか。少なくとも2012年を代表する大ヒット商品のひとつとなるのは、間違いないでしょう。
かくいう私も、発売と同時にWi-Fiモデルを購入したひとり。そして約1ヶ月が経った今、もはや「iPad mini」は、片時も手放せない存在になっています。では、「iPad mini」の何がそんなに良くて、どこが他のタブレット製品と違うのでしょうか。
実は私は当初「iPad mini」のスペックに対し、中途半端だなぁという印象を持っていました。たとえば、7.9インチという画面サイズ。周囲のライバル機を見渡してみると、2万円を切る低価格で話題になった、GoogleのクアッドコアCPU搭載タブレット「Nexus 7」は7インチ。さらに、ようやく日本でも発売が開始された、アマゾンの大ヒットタブレット「Kindle Fire HD」も7インチです。
私も「Nexus 7」を使っていますが、7インチというのは実に絶妙なサイズで、ぎりぎり片手でぎゅっと掴むことができます。誰かとシェアする場合の見やすさやタッチ操作のしやすさでは、より大きい10インチクラスのタブレットに適いませんが、少なくともスマホの小さな画面よりは大きくて使いやすい。携帯性を担保しながら、大画面ならではの見やすさと使いやすさを同時に備えているのが、7インチタブレットだと言えます。
一方「iPad mini」の画面サイズは、7インチよりも大きい7.9インチ。先ほど紹介したように7インチでぎりぎりですから、7.9インチだともう私の手では、片手でぎゅっと掴んで持つのが難しい。他のスペックも同様で、CPUには「iPhone 5」と同じ最新のA6チップではなくA5チップが搭載されていますし、高精細なRetinaディスプレイも採用されていない。つまり全てが最新&最高とは言い難い仕様なので、私も当初は「なんとも中途半端だなぁ」と思っていたのです。
手の大きな男性なら難なく持てるかもしれませんが、手の小さな女性にはちょっとこの持ち方は厳しい。「iPad mini」はそんなサイズです。
次ページでは私の考えを180度変えた「iPad mini」の魅力を紹介します。