権利確定日に株主でなければならない
株主優待とはわが国独特の株主への利益還元制度で、年1回ないし2回の決算(中間決算)期に、自社製品、食事券や商品券、趣味・娯楽用品などを株主へ贈答する制度です。企業が株主へ送るお中元やお歳暮と言えば分りやすいでしょう。ただ、株主優待を導入するかしないかは企業の自由。トヨタ自動車、キヤノン、ファーストリテイリングなどは導入していませんが、全上場企業の約3割に当たる1038社(2011年8月現在)が導入しています。株主になれば誰でも株主優待や配当金を受け取ることができますが、決算期に株主である必要があります。新規に株式を購入するのであれば、権利確定日(決算日)に株式を購入してもダメで、権利確定日から3営業日前までに株を買わなければなりません。たとえば、12月末が権利確定日であれば2012年12月28日が売買最終日。株主優待を実施する企業数が1番多い3月末であれば、2013年3月26日が売買最終日となり、この日までに株式を購入しなければ株主優待や配当金を受け取れません。
希望する優待をはっきりさせること
配当金を含め株主優待は、株主であればだれもが受け取ることができますが、必要のない優待をもらってもありがたみは半減してしまいます。日常の家計を助けるつもりなら、お米(おこめ券を含む)が優待の株式や自社製品を配る食品会社の株式。帰省や旅行に株主優待券を使うなら、航空会社や電鉄会社の株式。食事や飲み会に使いたいなら外食産業の株式などと言うように、目的をはっきりさせたうえで購入する株式を選ぶべきです。目的がはっきりしないのであれば、金券ショップなどに持ち込んで売却できる株式優待を実施している株式を購入するべきです。注意したいのが、食事券や割引券などには有効期限があることです。有効期限が過ぎてしまうとただの紙切れになってしまうので、貰った株主優待は積極的に使いましょう。節約などで頑張っている人は、株主優待はふんぱつ(ご褒美)して使ってしまうのもありだと思われます。また金券ショップに売る場合も、有効期限が短いほど買取価格が安くなる傾向があるので、余りそうなものは早めの売却がよいでしょう。
希望する株主優待の企業が決まったら、株主優待が貰える単元株数を確認しましょう。配当金は株数が増えるのに比例して金額が増えて行きますが、株主優待は100株保有と200株保有では優待内容が変わらないことが多いのです。また、100株単元の株式でも、優待は500株以上からと制限が付く会社もあるのです。たくさんの優待をもらいたいと考えるならば、株主優待もらえる最低単元株数だけ購入して、複数の会社に投資するという楽しみ方もあります。
株主優待投資の注意点
権利確定日に株主(単元株数と条件を満たしている)であればだれもが受け取ることができる株主優待ですが、だからと言ってやみくもに投資するのは感心できません。最後に株式の優待投資をする際の注意点をまとめておきましょう。1000社を超える企業が導入している株主優待ですが、当然ながら新規に導入する企業があれば、株主優待を取りやめたり、優待内容を変更する企業もあります。優待の原資は企業の利益ですから、企業業績は必ず確認しなければなりません。配当金の増配や株価の上昇まで期待するのであれば、業績が拡張して行く企業を選びましょう。業績が悪化するような企業であれば、株価は大きく下落してしまい、配当金や優待を受け取っても割に合わないはずです。最悪、配当金は減額から無配、優待は縮小から廃止もありえます。
投資するタイミングも重要です。株主優待銘柄は、なぜか権利確定日に向けて株価が上昇することが多いようです。株価の動きにつられて、つい投資をしてしまうと高値掴みをしてしまうことになりかねません。なるべく、株価が安い時期に買うようにするためには、1度優待の権利を放棄するくらいの余裕をもつようにしましょう。
持ち株が下落した場合の対応として「ナンピン買い」がありますが、下落局面の株式の買い増しにより平均購入単価を下げることができますが、保有株数が増えても優待内容が変わらないことが多々あります。株主優待銘柄のナンピン買いは避けるべきで、1度損切りをして、さらに安くなったところで買い戻した方が資金効率も良くなるでしょう。
なるべく安いところで購入できるように、過去の安値などをしっかりチェックして、慎重に買いを入れるようにしましょう。上手に株主優待を利用して株式投資を楽しんでください。