大型絵本(ビックブック)は保育園やおはなし会で子ども達に大人気
子どもたちより背高のっぽの絵本なんて信じられます?
けれども、利用にあたっては、準備や読み方・作品選びなどの面で難しさもあります。そこで今回は、読み手の立場から、ビッグブックの上手な利用法や、読み方のコツなどを考えてみましょう。もちろん、おすすめの大型絵本もご紹介します。
<目次>
大型絵本の読み聞かせ、成功する方法は「事前確認」
おはなし会等でビッグブックを利用する場合、いつも以上に準備が大切になります。事前に確認しておきたいポイントがいくつかありますので、それらを踏まえてしっかりと準備しましょう。入念な準備は、読み手の自信につながり、それはおはなし会の成功に直結します。ビッグブックを利用する際には、次の3点を必ず確認しましょう。
■会場の広さ
まずは、会場の広さを確かめます。絵本の大きさと会場の広さはマッチしていますか? 会場があまり広くなかったり、参加人数が多くない場合はオリジナルの判型の方が良い場合もあります。「初めにビッグブックありき」ではなく、子どもたちに絵本の面白さ伝えられるかどうかを念頭に置いて絵本を準備しましょう。また、絵本の大きさに甘えてついつい忘れがちなのが、死角の存在です。読み聞かせの会場に、絵本の見えにくい場所がないかについても確認し、もしあれば対策を講じます。
■絵本を支える台の準備
大型の絵本を読む時にはビッグブック用の専用スタンドがあると便利なのですが、なければ、絵本が動かないように支える机などの台を忘れずに用意します。ページをめくるたびに本がグラグラ動いては、絵本が大きいだけに、子どもたちの集中も途切れてしまいます。そんなことにならないよう、確認・準備を忘れずに。
■照明の確認
大型の絵本はボードブックが多いので、光沢のある紙が使われていることがほとんどです。そのため会場の照明が反射して、絵本が見えにくくなることがあります。必ず、子どもたちと同じ場所、同じの目の高さで、見え具合を確認し、必要であればカーテン等を利用して、照明の反射を防ぎます。
大型絵本の読み方は、大げさになりすぎないようにしよう
読み聞かせは子どもと絵本をつなぐもの。大げさすぎる読み方はNGです
そのためにも、事前の練習は不可欠です。しかも、普通の大きさの絵本を読む場合は、読み手1人のタイミングで読み聞かせを進めることができますが、ビッグブックの場合は、読み手の他に本を支えながら、ページを進める人が必要で、両者の呼吸がピタリと合わなければ、絵本の楽しさを子どもたちに届けることはできません。普段の読み聞かせ以上に、事前の練習が大切であることが、おわかりいたけると思います。
また、ビッグブックには、読み手の利便性を考慮して、付録に読み聞かせ用のテキストが付いていることがあります。この場合は、絵本を支える人と息を合わせることに加えて、読み手の立ち位置にも気を配り練習しましょう。できるだけ、絵本のそばに立ち、絵本を読んでいるように読む事が大切です。大きな会場を意識しすぎて、絵本と離れた場所でマイクを使ってテキストだけを読むと、絵本を支える人とタイミングがあわず、子どもたちの視線も分散されて、失敗するケースが多いようです。
余談ですが、プログラムの構成面からは、ビッグブックだけでおはなし会を組み立てるのはおすすめできません。読み聞かせの基本は、やはり普通の大きさの絵本です。人気があるからといって、大型の絵本に頼りすぎることなく、おはなし会のスタートや、プログラムのアクセントとしてビッグブックを利用すると、構成にメリハリがつきビッグブッグの特徴を活かしたおはなし会になります。
大型絵本は、原作の評価だけで選んではいけない
ビッグブックは、新作よりも、評価の定まった人気絵本が大型化されることが多いものです。けれど、残念ながら、大型にしたことで原作と印象が変わってしまう作品もないわけではありません。一例ですが、 『きょだいなきょだいな』という絵本は、小さな絵本の中にとっても大きな世界が広がって、子どもたちが絵本の世界で思う存分遊ぶことができる素晴らしい作品ですが、ビッグブックでは、逆にそのスケール感が伝わりにくくなってしまったように思います。また、参加人数が少ない場合は、オリジナル判の方が良いこともあるので、ビッグブックを取り入れるかどうかは慎重に決めてください。必ずしも、良い原作=良いビッグブックとは限りませんので、その意味でも、ビッグブック利用の際は、必ず事前にご自身の目で確認することが必要です。
大型絵本読み聞かせ経験者がすすめる大型絵本はこれ!
実際に図書館等で読み聞かせを行っていらっしゃる方々に、おすすめのビッグブックをお聞きしました。まずは、おはなし会のスタートによく利用される絵本からご紹介します。■はじめまして
おはなし会のつかみはこの絵本にお任せください。巻末の楽譜をたよりに、歌いながら(?)読めば、楽しさ倍増です。歌ヘタでも全く問題ないことは他ならぬガイドが証明済み。 可愛いイラストに思わずにっこりの、出会いの場にピッタリな絵本です。
【書籍デ-タ】
新沢としひこ:作 大和田美鈴:絵
出版社:鈴木出版
サイズ:45 x 43 x 2.8 cm
推奨年齢:3歳くらいから
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■ぴょーん
色々な動物が次々にジャンプを繰り返す愉快な絵本。画面の大きさが、動物たちのジャンプをよりダイナミックに見せてくれます。読み聞かせの間、動物たちと一緒にぴょーんと飛び跳ねるお子さんが続出しますのでご用心?
【書籍デ-タ】
まつおかたつひで
出版社:ポプラ社
サイズ:37.4 x 37.4 x 2.6 cm
推奨年齢:3歳くらいから
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子ども達に大人気の読みやすい大型絵本
おはなし会にメリハリをつけるアクセントとして、また読み聞かせの目玉として、以下の絵本を推薦する方がたくさんいらっしゃいました。いずれも、初めてビッグブックを読む方にも読みやすく、子どもたちの人気も高い作品です。
■100かいだてのいえオリジナルの内容はそのままに、大きさと開き方を変えて作ったとびきり面白いビッグブック。縦の長さが1メートルを超える細長い形に、まずは度胆を抜かれます。「次は? 次は?」というワクワクが最後まで続くほか、丁寧に描きこまれた絵には、読むたびに新しい発見があり、読者を飽きさせません。
【書籍デ-タ】
いわいとしお
出版社:偕成社
サイズ:117 x 21 x 4.4 cm
推奨年齢:3歳くらいから
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■わゴムはどのくらいのびるかしら?
ちょっと思いついて、わゴムがどこまでのびるか試し始めた男の子。町を抜け、国を抜け、ついには宇宙に飛び出します。わゴム特有のアノ方法で、一瞬で我が家に戻るラストも楽しい! 大人も子どもも楽しめる、愉快なファンタジーです。
【書籍デ-タ】
マイク・サーラー:文 ジェリー・ジョイナー:絵 岸田衿子:訳
出版社:ほるぷ出版
サイズ: 43.8 x 34.4 x 1.8 cm
推奨年齢:4歳くらいから
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■でんしゃでいこう でんしゃでかえろう
雪深い山の駅を出発した電車は、たくさんのトンネルを抜け、途中の景色を楽しみながら、海の駅を目指します。トンネルの出入り口がくりぬかれていたり、海の駅から山の駅へと逆に読む事もできたりと、遊び心いっぱいの絵本です。
【書籍デ-タ】
間瀬なおたか
出版社:チャイルド本社
サイズ:52.4 x 52.2 x 4.4 cm
推奨年齢:3歳くらいから
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■こどものとも劇場
福音館書店には こどものとも劇場という大型絵本のシリーズがあり、こどものとものなかから評価の定まったロングセラー絵本がビッグブックとして発売されています。お馴染みの主人公たちが、大きくなって登場するので、子どもたちは大喜びです。特に、
- 『ぐりとぐら こどものとも劇場』
- 『おおきなかぶ こどものとも劇場』
- 『三びきのこぶた こどものとも劇場』
- 『ぐるんぱのようちえん こどものとも劇場』
- 『かばくん こどものとも劇場』
- 『ぞうくんのさんぽ こどものとも劇場』
先に「オリジナルが良いからと言って、よいビッグブックとは限らない」と言いましたが、その逆は言えるかもしれません。大型になっても「良い絵本だな」と思える作品のオリジナルは、秀作揃いだと言えますね。
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